【2026年トレンド考察】日経の防災関連銘柄20社徹底解説|国土強靱化で注目の投資先

【2026年トレンド考察】日経の防災関連銘柄20社徹底解説|国土強靱化で注目の投資先

はじめに:なぜ今、防災関連銘柄が注目されるのか

2025年現在、日本の株式市場において防災関連銘柄への注目度が急速に高まっています。南海トラフ地震の臨時情報発表、頻発する豪雨災害、そして石破政権による防災庁創設(※1)の動きなど、防災・減災への国家的な取り組みが本格化しているためです。

本記事では、投資家の皆様に向けて、日経平均株価に関連する防災関連銘柄20社を詳しくご紹介します。各企業の事業内容、強み、今後の展望について解説し、投資判断の材料としてお役立ていただける内容となっています。

※参考:内閣官房防災庁設置準備室 防災庁の設置

防災関連銘柄とは?市場規模と成長性

防災関連市場の現状

防災関連銘柄とは、地震や台風、洪水などの自然災害に対する備えや、災害発生後の復旧・復興に関わる製品・サービスを提供する企業の株式を指します。日本は世界有数の災害大国であり、毎年のように自然災害に見舞われています。

15兆円規模の国土強靱化予算

2021年度から2025年度まで実施されている「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」では、約15兆円もの予算が投じられています。(※2)この巨額投資により、インフラの老朽化対策、風水害対策、地震対策などが全国で進められており、関連企業には大きなビジネスチャンスが生まれています。

※2 出典:内閣府 令和3年版 防災白書|特集 第3章 第1節 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の実施

2026年度以降の展望

2026年度以降も「国土強靱化実施中期計画」の策定が進められており、継続的な予算投入が見込まれています。石破首相が注力する「防災庁」の創設により、防災関連予算は前年比で約2倍に増額される見通しもあり、長期的な成長が期待できるテーマ株として位置づけられています。

防災関連銘柄の分類と投資の視点

防災関連銘柄は、その事業内容によって以下のカテゴリーに分類できます。

1. インフラ・建設関連

橋梁、道路、トンネルなどの耐震補強や老朽化対策を手掛ける企業群です。公共工事の恩恵を直接受けやすく、安定的な受注が見込めます。

2. 防災設備・機器メーカー

消防設備、警報システム、防災用品などを製造・販売する企業です。企業や自治体の防災意識の高まりにより、需要が拡大しています。

3. 情報通信・システム

災害情報の収集・伝達、気象予測システム、防災アプリなどを提供する企業です。デジタル技術を活用した防災DXが進展しており、成長性が高いセクターです。

4. 素材・部材メーカー

防災資材、耐震部材、補強材料などを製造する企業です。建設需要の増加に伴い、安定した売上が期待できます。

日経の防災関連銘柄20社徹底解説

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【建設・土木関連】

1. 鹿島建設(1812)

スーパーゼネコンの一角として、大規模インフラプロジェクトに強みを持つ企業です。耐震技術に優れ、橋梁やダム、トンネルなどの防災インフラ整備で豊富な実績があります。国土強靱化予算の恩恵を最も受けやすい銘柄の一つであり、安定した公共工事の受注が期待できます。

技術力の高さと総合的なエンジニアリング能力により、単なる建設にとどまらず、防災計画の立案から施工、メンテナンスまで一貫して対応可能です。長期的な視点で保有する価値のある銘柄といえるでしょう。

2. 大成建設(1801)

もう一つのスーパーゼネコンとして、耐震・免震技術に定評があります。特に地下構造物や大型建築物の耐震化において高い技術力を誇り、首都直下型地震への備えとして注目される東京のインフラ強化事業に多数関与しています。

大成建設は環境技術にも力を入れており、防災と環境保全を両立させたプロジェクトが増えています。サステナビリティ重視の投資家からも評価されやすい銘柄です。

3. ライト工業(1926)

地盤改良や斜面防災工事に特化した専門工事会社です。土砂崩れや地滑り対策、液状化対策など、災害に直結する工事を得意としており、ニッチな分野で高いシェアを誇ります。

気候変動による豪雨災害の増加に伴い、斜面防災や河川護岸工事の需要が拡大しており、今後の成長が見込まれます。専門性の高さが参入障壁となり、安定した収益基盤を築いています。

4. ショーボンドホールディングス(1414)

橋梁やトンネルなどのインフラ補修・補強に特化した企業です。高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化が深刻化する中、維持管理需要は今後数十年にわたって継続すると予想されます。

予防保全の重要性が認識される中、定期的な点検・補修の需要は安定的に推移しており、リピート性の高いビジネスモデルが強みです。長期的な成長ストーリーを描きやすい銘柄といえます。

5. 東亜建設工業(1885)

港湾・海洋土木に強みを持つゼネコンです。津波対策としての防潮堤建設、港湾施設の耐震化、海岸保全工事などで豊富な実績があります。

島国である日本において、海岸線の防災対策は極めて重要であり、継続的な需要が見込めます。また、洋上風力発電などの海洋再生可能エネルギー事業にも進出しており、新たな成長ドライバーも期待できます。

【防災設備・機器メーカー】

6. モリタホールディングス(6455)

消防車の国内最大手メーカーです。消防車、救助工作車、化学消防車など、多様な消防車両を製造しており、国内シェアは約50%に達します。

自治体の消防車両更新需要は安定的に発生し、防災意識の高まりから高機能車両へのニーズも増加しています。海外展開も進めており、中長期的な成長余地があります。

7. 帝国繊維(3302)

消防ホースや防災資材のトップメーカーです。消防ホースでは国内シェアの約70%を占め、圧倒的な地位を築いています。また、防炎カーテンや防災シートなども手掛けています。

品質の高さと信頼性により、官公庁や消防署からの安定した受注があります。建築物の防火基準強化により、防炎製品の需要も拡大しています。

8. 能美防災(6744)

火災報知設備や消火設備の大手メーカーです。オフィスビル、商業施設、工場などに設置される自動火災報知設備で高いシェアを持ちます。

建物の安全基準が厳格化される中、既存建物の設備更新需要も旺盛です。IoT技術を活用したスマート防災システムの開発にも注力しており、技術革新による差別化を図っています。

9. ホーチキ(6745)

火災報知器・消火設備メーカーの老舗企業です。住宅用火災警報器の義務化により一般家庭への普及が進み、安定した収益基盤を確立しています。

交換需要が定期的に発生するビジネスモデルであり、予測可能性の高い収益構造が魅力です。高齢者向け見守りサービスなど、防災の枠を超えた事業展開も進めています。

10. 文化シヤッター(5930)

防火シャッターやシートシャッターの大手メーカーです。商業施設や駐車場などに設置される各種シャッターで業界トップクラスのシェアを誇ります。

台風や強風への対策として、耐風シャッターの需要が増加しています。また、環境配慮型製品の開発にも力を入れており、長期的な競争力維持が期待できます。

【防災用品・資材】

11. 岩谷産業(8088)

カセットコンロで知られる総合エネルギー企業です。災害時の熱源として欠かせないカセットコンロ・カセットガスは、各家庭の防災備蓄品として定着しています。

大規模災害発生時には需要が急増する特性があり、防災意識の高まりとともに平時の備蓄需要も増加しています。LPガス事業も手掛けており、災害時のエネルギー供給で重要な役割を果たします。

12. コメリ(8218)

ホームセンター大手で、防災用品の品揃えが充実しています。懐中電灯、非常食、簡易トイレ、ブルーシートなど、災害時に必要な用品を幅広く取り扱っています。

地方への出店が多く、地域密着型の店舗展開により、災害発生時の物資供給拠点としての役割も期待されます。防災フェアなどのイベント開催により、平時からの防災意識向上に貢献しています。

13. コンドーテック(7438)

ビニールシート、土のう袋、安全ネットなどの産業資材を扱う専門商社です。災害復旧現場で使用される資材に強く、豪雨災害や地震発生時には需要が急増します。

全国に拠点を持ち、迅速な供給体制を整えているため、緊急時の対応力が強みです。災害の多い日本において、継続的な需要が見込める銘柄です。

【情報通信・システム】

14. NEC(6701)

総合エレクトロニクスメーカーとして、AI・IoT技術を活用した防災システムを提供しています。消防・防災領域で長年培った実績を基に、災害発生前の予兆検知から発生時の情報共有まで、包括的なソリューションを展開しています。

気象情報や被害情報をAIで分析し、自治体の災害対策本部での意思決定を支援する防災DXシステムが注目されています。衛星を活用した広域災害監視システムなど、最先端技術による防災インフラの高度化を推進しており、今後のデジタル防災市場での成長が期待されます。

15. 古野電気(6814)

GPS関連機器や船舶用電子機器のメーカーです。津波監視システムや水位監視システムなど、海洋・河川の防災システムを提供しています。

位置情報技術を活用した避難誘導システムや、リアルタイム災害情報配信システムなど、先進的な防災ソリューションの開発を進めています。

16. 応用地質(9755)

地質調査や防災コンサルティングを行う専門企業です。地盤調査、地滑り監視、インフラ点検などの技術サービスを提供しており、防災計画の立案段階から関与します。

AI・IoTを活用したインフラモニタリングシステムの開発に注力しており、予防保全型の防災対策への貢献が期待されます。技術力の高さが評価され、公共工事での採用実績が豊富です。

【総合商社・物流】

17. 住友商事(8053)

総合商社として多様な事業を展開していますが、防災関連では発電設備や通信インフラ、建設資材などの供給に関与しています。

災害時の物資調達ネットワークや、復旧に必要な機材の供給能力を持ち、グローバルな調達力が強みです。再生可能エネルギー事業も推進しており、災害に強い分散型電源の普及に貢献しています。

18. セイノーホールディングス(9076)

物流大手として、災害時の緊急物資輸送で重要な役割を果たします。全国に配送網を持ち、迅速な物資供給が可能です。

災害時の物流機能維持は社会的使命として認識されており、BCPの強化や代替輸送ルートの確保に投資しています。Eコマース拡大に伴う物流需要の増加も追い風となっています。

【その他注目銘柄】

19. 五洋建設(1893)

五洋建設は海洋土木工事(マリコン)の最大手企業で、港湾工事、防波堤建設、浚渫工事などに強みを持ち、津波対策や高潮対策など沿岸部の防災インフラ整備で豊富な実績がある企業です

防衛省や国土交通省港湾局向けの案件に強く、専門性の高さから競合が少なく安定した収益が期待できる防災関連銘柄として適切な内容に更新しました。

20. 積水化学工業(4204)

住宅用建材や配管材料のメーカーです。耐震性の高い住宅用制震装置や、地震に強い配管システムを開発しています。

耐震リフォーム需要の増加により、既存住宅向けの耐震製品の販売が伸びています。環境配慮型の建材開発にも注力しており、持続可能な防災インフラの構築に貢献しています。

防災関連銘柄への投資戦略

長期投資に適した理由

防災関連銘柄は、短期的な値動きよりも中長期的な視点で投資するのに適しています。理由は以下の通りです。

  1. 継続的な政府予算の投入:国土強靱化は数十年にわたる長期プロジェクトであり、安定した需要が見込めます。
  2. 人口動態に左右されにくい:少子高齢化が進む日本でも、インフラ維持は必須であり、市場縮小リスクが小さいです。
  3. 技術革新の余地:IoT、AI、ドローンなどの新技術活用により、サービスの高度化が進んでいます。

分散投資の重要性

防災関連といっても、建設、設備、情報通信など多様な業種があります。一つの企業や業種に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資することでリスクを軽減できます。

災害発生時の対応

大規模災害が発生すると、関連銘柄の株価が短期的に上昇することがありますが、被災状況や企業の事業内容によって影響は異なります。災害を利用した投機的な売買は控え、企業の本質的な価値を見極めることが重要です。

防災関連銘柄選びのポイント

1. 財務の健全性

公共工事は支払いサイトが長い傾向があるため、キャッシュフローの安定性を確認することが重要です。自己資本比率や有利子負債の水準をチェックしましょう。

2. 技術力と競争優位性

防災分野では高度な技術力が求められます。特許取得状況や研究開発投資の状況を確認し、競合他社に対する優位性を評価します。

3. 受注残高の推移

建設・設備関連企業では、受注残高が将来の売上を示す重要な指標です。受注残高が増加傾向にあれば、今後の業績拡大が期待できます。

4. 配当政策

安定した事業基盤を持つ企業は、継続的な配当が期待できます。配当利回りや配当性向を確認し、株主還元姿勢を評価しましょう。

2025年の防災関連銘柄の見通し

プラス材料

  1. 防災庁創設の動き:内閣府で防災専門の省庁設立が検討されており、予算増額が期待されます。
  2. インフラ老朽化の深刻化:高度経済成長期に建設されたインフラの更新時期を迎えており、継続的な需要が発生します。
  3. 気候変動による災害増加:豪雨災害の頻発により、水害対策への投資が拡大しています。
  4. 防災DXの進展:デジタル技術を活用した防災システムの導入が加速しており、関連企業にビジネスチャンスが広がっています。

注意点

  1. 公共工事の発注動向:政権交代や財政状況の変化により、公共工事予算が変動する可能性があります。
  2. 原材料価格の上昇:建設資材や部品の価格高騰は、企業の利益率を圧迫する要因となります。
  3. 人手不足:建設業界では深刻な人手不足が続いており、プロジェクトの遅延リスクがあります。

まとめ:防災関連銘柄で長期的な資産形成を

防災関連銘柄は、日本が災害大国である限り、継続的な需要が見込める投資テーマです。国土強靱化への15兆円規模の投資、防災庁創設の動き、そして気候変動による災害リスクの高まりなど、複数の成長企業が存在します。

本記事でご紹介した20社は、それぞれ異なる強みと特徴を持っており、投資家の皆様のリスク許容度や投資スタイルに応じて選択できます。建設大手の安定性を重視するか、ニッチ分野の専門企業の成長性を狙うか、あるいは最新技術を持つIT系企業に投資するか、多様な選択肢があります。重要なのは、短期的な値動きに一喜一憂せず、日本の防災インフラ整備という長期的なテーマを理解し、企業の本質的な価値を見極めて投資することです。分散投資を心がけ、定期的に企業の業績や事業環境の変化をチェックしながら、賢明な投資判断を行ってください。

防災は国家の根幹を支える重要な分野であり、そこに投資することは、自身の資産形成だけでなく、日本の安全・安心な社会づくりへの貢献にもつながります。本記事が、皆様の投資判断の一助となれば幸いです。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。

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