なぜ今サイバーセキュリティ株に注目すべきか
デジタル化が加速する現代社会において、サイバーセキュリティの重要性は日々高まっています。企業のDX推進、リモートワークの普及、クラウドサービスの利用拡大に伴い、サイバー攻撃のリスクも増大しており、セキュリティ対策への投資は企業にとって必須となっています。
2025年現在、日本政府も経済安全保障の観点からサイバーセキュリティ強化を国家戦略として推進しており、関連市場は今後も継続的な成長が見込まれています。本記事では、投資家の皆様にとって魅力的なサイバーセキュリティ関連の日本株を詳しくご紹介します。
サイバーセキュリティ市場の現状と将来性
国内市場の成長トレンド
日本国内のサイバーセキュリティ市場は年平均10%以上の成長率で拡大を続けています。企業のセキュリティ投資意欲は高まり続けており、特に金融、製造、医療、インフラなどの重要産業において、セキュリティ予算の増額が顕著です。
ランサムウェア攻撃や標的型攻撃の巧妙化により、従来の境界防御型セキュリティから、ゼロトラストアーキテクチャへの移行が進んでいます。また、AIやIoTの普及に伴う新たなセキュリティリスクへの対応も市場成長の要因となっています。
グローバル競争力の向上
日本のサイバーセキュリティ企業は、独自の技術力と日本市場での実績を武器に、アジア太平洋地域への展開を加速させています。特に製造業向けのOTセキュリティや、高度な脅威検知技術において国際的な評価を獲得する企業が増えています。
おすすめサイバーセキュリティ関連日本株10選
1. トレンドマイクロ(4704)
企業概要
トレンドマイクロは日本を代表するグローバルなサイバーセキュリティ企業です。個人向けウイルス対策ソフトから企業向けの総合セキュリティソリューションまで幅広い製品ラインナップを持ち、世界65カ国以上に展開しています。
強みと特徴
クラウドセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティの各分野で強力な製品群を展開しており、特にクラウド環境のセキュリティ対策では業界をリードしています。AI技術を活用した脅威検知システムは高い評価を受けており、継続的なイノベーションにより競争力を維持しています。
投資のポイント
安定した収益基盤と高い営業利益率が魅力です。サブスクリプション型ビジネスモデルにより予測可能な収益を確保しており、配当性向も比較的高い水準を維持しています。グローバル展開による為替の影響を受けやすい点には注意が必要ですが、長期的な成長性は高く評価できます。
2. FFRI セキュリティ(3692)
企業概要
FFRIセキュリティは、標的型攻撃対策に特化した独自技術を持つサイバーセキュリティ専門企業です。既知の脅威だけでなく、未知の脅威にも対応できる先進的なセキュリティソリューションを提供しています。
強みと特徴
コード解析技術とヒューリスティック検知技術を組み合わせた独自のアプローチにより、ゼロデイ攻撃にも対応可能なセキュリティ製品を開発しています。防衛、インフラ、金融など高度なセキュリティが求められる分野での導入実績が豊富です。
投資のポイント
高い技術力を背景とした成長性が魅力です。政府の重要インフラ保護政策の追い風を受け、公共分野での受注拡大が期待されます。ベンチャー企業的な成長性と、株価のボラティリティの高さを理解した上での投資が推奨されます。
3. デジタルアーツ(2326)
企業概要
デジタルアーツは、Webフィルタリングソフト「i-FILTER」を主力製品とする国内有力セキュリティ企業です。企業や教育機関向けのインターネット利用管理ソリューションで高いシェアを誇ります。
強みと特徴
国内の教育機関や企業でのWebフィルタリング市場において圧倒的なシェアを持ち、ブランド力と導入実績が強みです。近年はクラウド型サービスへの移行を進めており、エンドポイントセキュリティやメールセキュリティなど製品ラインの拡充を図っています。
投資のポイント
安定した顧客基盤による継続収益が魅力です。教育機関向けビジネスの安定性と、企業向けクラウドサービスの成長性のバランスが取れており、中長期的な投資に適しています。リカーリング収益比率の向上が今後の成長ドライバーとなります。
4. セキュアヴェイル(3042)
企業概要
セキュアヴェイルは、セキュリティ診断やペネトレーションテスト、インシデント対応サービスを提供する専門企業です。高度なセキュリティエンジニアリング技術を武器に、金融機関や大手企業向けのセキュリティサービスを展開しています。
強みと特徴
実践的なセキュリティ診断技術とインシデントレスポンス能力が強みです。セキュリティオペレーションセンター(SOC)サービスやマネージドセキュリティサービスを提供し、顧客のセキュリティ運用を包括的にサポートしています。セキュリティ人材の育成にも注力し、高度な技術者を継続的に確保しています。
投資のポイント
セキュリティサービス需要の拡大を背景に成長が期待できます。企業のセキュリティ外部委託ニーズの高まりや、高度化するサイバー攻撃への対応力が評価されています。サブスクリプション型のマネージドサービスの拡大により、安定した収益基盤の構築が進んでいます。
5. サイバーセキュリティクラウド(4493)
企業概要
サイバーセキュリティクラウドは、クラウド型Webアプリケーションファイアウォール「攻撃遮断くん」を主力製品とする成長企業です。中小企業から大企業まで幅広い顧客基盤を持ちます。
強みと特徴
クラウド型サービスによる導入の容易さと、継続的なアップデートによる最新脅威への対応力が評価されています。SaaS型ビジネスモデルにより、安定した継続収益を確保しており、カスタマーサクセスに注力することで高い顧客定着率を実現しています。
投資のポイント
高い成長率とサブスクリプション収益の安定性が魅力です。中小企業のDX推進とセキュリティ意識の高まりを背景に、顧客数の拡大が続いています。成長期にある企業として、売上成長と収益性のバランスに注目が必要です。
6. GMOインターネットグループ株式会社(9449)
企業概要
GMOグループ傘下に、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社がありセキュリティ診断も行っている企業です。ホワイトハッカーによる高度なペネトレーションテストや脆弱性診断サービスを提供しています。
強みと特徴
高度なハッキング技術を持つセキュリティエンジニアを擁し、実践的なセキュリティ診断サービスを提供できることが強みです。バグバウンティプラットフォームの運営により、グローバルなハッカーコミュニティとのネットワークを構築しています。
投資のポイント
セキュリティ診断市場の拡大とともに成長が期待できます。GMOグループとのシナジー効果や、グローバル展開の可能性も評価ポイントです。人材依存度の高いビジネスモデルのため、優秀な人材の確保と育成が成長の鍵となります。
7. NEC(6701)
企業概要
NECは総合IT企業として、官公庁や企業向けに包括的なセキュリティソリューションを提供しています。生体認証技術で世界トップクラスの実績を持ちます。
強みと特徴
顔認証や指紋認証など生体認証技術の開発力と、重要インフラ向けセキュリティシステムの構築実績が強みです。AI技術を活用した異常検知システムや、量子暗号通信の研究開発など、先端技術への投資を継続しています。
投資のポイント
総合IT企業としての安定性と、成長分野であるセキュリティ事業の拡大による成長性を併せ持ちます。デジタル庁関連の案件や、重要インフラのセキュリティ強化需要の恩恵を受けやすい立ち位置にあります。セキュリティ事業単体の収益性向上が今後の注目点です。
8. 日立製作所(6501)
企業概要
日立製作所は、社会インフラからITシステムまで幅広い事業を展開する総合電機メーカーです。OTセキュリティやインフラセキュリティに強みを持ちます。
強みと特徴
製造業や社会インフラ向けのOTセキュリティ分野で豊富な実績があります。工場の制御システムや鉄道システムなど、高い信頼性が求められる分野でのセキュリティソリューション提供に強みがあり、ITとOTの融合領域でのセキュリティ対策をリードしています。
投資のポイント
安定した財務基盤と配当利回りの高さが魅力です。DX推進とIoT化の進展により、OTセキュリティ需要の拡大が見込まれます。総合企業としての安定性を求める投資家に適しており、長期保有による配当収益も期待できます。
9. 富士通(6702)
企業概要
富士通は日本を代表するIT企業として、企業や官公庁向けに総合的なセキュリティサービスを提供しています。システムインテグレーションから運用まで一貫したサポートが可能です。
強みと特徴
大規模システムの構築実績と、24時間365日のセキュリティ監視サービスが強みです。量子コンピューティングやAI技術を活用した次世代セキュリティソリューションの研究開発にも注力しており、技術革新をリードしています。
投資のポイント
DXビジネスへの注力により収益構造の改善が進んでいます。セキュリティはDX推進の基盤として重要性が増しており、関連売上の拡大が期待されます。事業ポートフォリオの転換期にあり、中長期的な企業価値向上が見込まれます。
10. NTT(9432)
企業概要
NTTグループのNTTデータは、国内最大手のシステムインテグレーターとして、金融、官公庁、通信など幅広い分野でセキュリティソリューションを提供しています。
強みと特徴
金融機関向けセキュリティシステムの構築で圧倒的な実績を持ち、高度なセキュリティ要件に対応できる技術力があります。グローバル展開も進めており、海外でもセキュリティサービスの拡充を図っています。
投資のポイント
安定した収益基盤と成長性のバランスが取れています。デジタル化の進展により、あらゆる業界でセキュリティ需要が高まっており、同社の総合的なソリューション提供力が強みとなります。NTTグループとしての信頼性も投資判断のプラスファクターです。
セクター別の投資戦略
純粋なサイバーセキュリティ企業への投資
トレンドマイクロ、FFRIセキュリティ、デジタルアーツ、ラック、サイバーセキュリティクラウド、GMOサイバーセキュリティbyイエラエなど、サイバーセキュリティを主力事業とする企業への投資は、市場成長の恩恵を直接的に受けられます。
これらの企業は収益の大部分がセキュリティ関連であるため、市場動向の影響を受けやすい一方、成長性も高くなります。技術トレンドの変化や競合環境の把握が重要となります。
総合IT企業のセキュリティ事業への注目
NEC、日立製作所、富士通、NTTなどの大手IT企業は、セキュリティ事業が全体の一部門ではありますが、総合力と信頼性が強みとなります。安定配当を狙いつつ、セキュリティ市場の成長も取り込めるバランス型の投資となります。
これらの企業は財務基盤が強固で、長期投資に適しています。セキュリティ事業の売上比率や成長率を確認することで、投資判断の精度を高められます。
投資する際のポイントと注意点
成長性の評価
サイバーセキュリティ関連企業への投資では、売上成長率、顧客数の推移、新規契約の獲得状況などを確認することが重要です。特にサブスクリプション型ビジネスの場合、リカーリング収益の比率や解約率(チャーンレート)が重要な指標となります。
研究開発投資の状況も重要です。セキュリティ技術は日々進化しており、継続的なイノベーションが競争力維持の鍵となります。研究開発費の売上高比率や、特許取得状況なども確認すべきポイントです。
収益性の分析
営業利益率やEBITDAマージンなどの収益性指標を確認しましょう。セキュリティサービス企業は人材依存度が高いため、売上拡大とともに収益性が改善するかどうかが重要です。自動化やAI活用による効率化の取り組みも評価ポイントとなります。
キャッシュフローの健全性も重要です。特に成長期の企業は設備投資や研究開発投資が必要となるため、営業キャッシュフローの創出力を確認することが大切です。
リスク要因の把握
サイバーセキュリティ業界特有のリスクとして、技術革新のスピードが速く、競争環境が急速に変化する可能性があります。新たな脅威への対応力や、製品開発力が継続的に求められます。
また、セキュリティインシデントへの対応失敗は企業の評判に大きな影響を与えます。サービス品質の維持と、顧客サポート体制の充実度も確認すべきポイントです。
バリュエーションの妥当性
成長株として評価されるサイバーセキュリティ関連銘柄は、PERやPBRが高めになる傾向があります。成長率と比較して妥当な評価水準にあるかを判断することが重要です。
PSR(株価売上高倍率)やEV/EBITDA倍率なども活用し、複数の指標から総合的に評価することをお勧めします。同業他社や海外の類似企業との比較も有効です。
ポートフォリオ構築の考え方
分散投資の重要性
サイバーセキュリティ関連株への投資では、成長性の高い純粋なセキュリティ企業と、安定性の高い総合IT企業をバランス良く組み合わせることで、リスクを分散しながらリターンを追求できます。
企業規模、事業モデル、顧客セグメントなどが異なる銘柄を組み合わせることで、特定のリスク要因による影響を軽減できます。例えば、大企業向けと中小企業向け、製品販売型とサービス提供型など、異なる特性を持つ企業を選択すると良いでしょう。
長期投資の視点
サイバーセキュリティ市場は構造的な成長が見込まれる分野であり、短期的な株価変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが重要です。四半期ごとの決算内容や事業進捗を確認しながら、保有を継続するか判断しましょう。
配当再投資により複利効果を活用することも、長期的な資産形成に有効です。配当性向や配当成長率も投資判断の材料としましょう。
定期的なポートフォリオの見直し
市場環境や各社の事業状況は常に変化します。半年から1年に一度程度、ポートフォリオの構成を見直し、必要に応じてリバランスを行うことをお勧めします。
新たな有望企業の台頭や、既存企業の事業戦略の変化にも注意を払い、投資判断を更新していくことが大切です。
今後の市場展望と投資機会
AIとサイバーセキュリティの融合
AI技術の発展により、サイバーセキュリティの世界も大きく変化しています。AIを活用した脅威検知や、自動対応システムの開発が進んでおり、この分野に強みを持つ企業は今後さらに競争力を高める可能性があります。
一方で、攻撃側もAIを活用した高度な攻撃手法を開発しており、防御側の技術革新が継続的に求められます。AIセキュリティ技術への投資を積極的に行う企業に注目です。
ゼロトラストセキュリティへの移行
従来の境界防御型セキュリティから、ゼロトラストセキュリティへの移行が加速しています。すべてのアクセスを信頼せず、常に検証するというアプローチは、クラウド時代のセキュリティ対策として主流となりつつあります。
ゼロトラスト関連のソリューションを提供する企業や、アイデンティティ管理技術に強みを持つ企業の成長が期待されます。
産業IoTとOTセキュリティの拡大
製造業のスマートファクトリー化や、社会インフラのIoT化により、OT(制御技術)のセキュリティ需要が急拡大しています。従来ITセキュリティとは異なる専門知識が必要な分野であり、この領域に強みを持つ企業には大きなビジネスチャンスがあります。
日本企業は製造業との結びつきが強く、OTセキュリティ分野で競争優位性を発揮できる可能性があります。
中小企業向けセキュリティサービスの普及
大企業だけでなく、中小企業もサイバー攻撃のターゲットとなっており、セキュリティ対策の必要性が高まっています。しかし、中小企業は予算や人材の制約から、十分な対策を講じられていないケースが多くあります。
中小企業向けのクラウド型セキュリティサービスや、マネージドセキュリティサービスの市場拡大が見込まれ、この分野に注力する企業の成長が期待されます。
まとめ:サイバーセキュリティ株への投資戦略
サイバーセキュリティ関連の日本株は、デジタル化の進展とサイバー脅威の高度化を背景に、長期的な成長が見込まれる魅力的な投資対象です。純粋なセキュリティ企業から総合IT企業まで、様々な選択肢があり、投資家のリスク許容度や投資目的に応じて銘柄を選択できます。
投資にあたっては、各企業の技術力、顧客基盤、収益性、成長性を総合的に評価し、分散投資を心がけることが重要です。また、サイバーセキュリティ市場のトレンドや技術動向を継続的にフォローし、ポートフォリオを適切に管理していくことで、長期的な資産形成につなげることができるでしょう。
本記事で紹介した企業は、それぞれ異なる強みと特徴を持っています。自身の投資方針と照らし合わせながら、最適な銘柄選択を行ってください。サイバーセキュリティは今後も成長が続く重要な分野であり、日本企業にも大きなビジネスチャンスがあります。適切な投資判断により、この成長の恩恵を享受していただければ幸いです。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。





















