データセンター関連銘柄は、2025年現在、投資家から高い注目を集めています。AI技術の進化、クラウドサービスの拡大、DX推進により、データセンターの需要は飛躍的に増加しています。本記事では、日本株のデータセンター関連銘柄について、建設・設備・不動産・電力など、セクター別に詳しく解説します。
データセンター市場の成長背景
世界的なデジタル化の加速により、データセンター市場は年率10%以上の成長を続けています。特に日本市場では、以下の要因が成長を後押ししています。
主な成長要因
- 生成AI需要の急増によるGPU搭載サーバーの増設
- 企業のクラウド移行加速によるハイパースケールデータセンターの建設ラッシュ
- 5G普及によるエッジコンピューティング需要の拡大
- 金融機関のシステム更新需要
- 政府のデジタル庁設立とDX推進政策
これらの要因により、2025年から2030年にかけて、日本のデータセンター投資額は5兆円を超えると予測されています。
データセンター関連銘柄のカテゴリー分類
データセンター関連銘柄は、事業内容によって複数のカテゴリーに分類できます。それぞれの特徴を理解することで、投資判断の精度が高まります。
1. データセンター運営・不動産REIT
データセンターの運営や不動産投資に特化した企業群です。安定した収益モデルと配当利回りの高さが魅力です。
2. 建設・設備工事
データセンターの建設や空調・電気設備工事を手がける企業です。建設ブームの恩恵を直接受けます。
3. 電源・冷却装置メーカー
サーバーの安定稼働に不可欠な電源装置やUPS、冷却システムを製造する企業です。
4. ネットワーク機器・光ファイバー
データセンター間の通信インフラを支える通信機器や光ファイバーケーブルメーカーです。
5. 電力・エネルギー供給
データセンターは大量の電力を消費するため、電力供給企業も関連銘柄として注目されています。
注目のデータセンター関連銘柄トップ20
ここでは、投資価値が高いと考えられる日本株のデータセンター関連銘柄を、カテゴリー別に詳しく紹介します。
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データセンター運営
NTT(9432) 既に上場廃止になりましたがNTTデータセンターとして、国内外でデータセンター事業を展開しています。NTTグループとして金融機関向けのミッションクリティカルなシステムから、クラウドサービスまで幅広く提供しています。2024年には大規模なデータセンター投資計画を発表し、AI向けの高性能計算環境の構築を進めています。時価総額は約14兆円で、安定配当も魅力の大型株です。
さくらインターネット(3778) 日本を代表する独立系データセンター事業者です。北海道石狩市に大規模データセンターを保有し、低コストで高品質なサービスを提供。2024年後半から生成AI向けのGPUクラスタサービスを本格展開し、株価が急騰しました。中小型成長株として高いボラティリティがある一方、成長ポテンシャルも大きい銘柄です。
インターネットイニシアティブ(3774) 日本初の商用インターネット接続サービス事業者として、データセンター事業も展開。企業向けに高品質なデータセンターサービスを提供し、クラウド接続やネットワークサービスとの一体提供が強みです。安定した顧客基盤と技術力の高さから、中長期的な成長が期待できる銘柄です。
ソフトバンクグループ(9984) 世界的な投資持株会社として、AI・データセンター関連企業への投資を積極化しています。英国の半導体設計大手Arm社を傘下に持ち、データセンター向けAIチップ市場での存在感を高めています。また、米国のデータセンター事業者への出資も行い、グローバルなデータセンター需要の成長を取り込む戦略を展開。AI投資を重視する孫正義会長のビジョンにより、今後もデータセンター関連投資が加速する見込みです。
・NASDAQ銘柄
エクイニクス(EQIX)(NASDAQ上場) 世界最大級のデータセンター事業者エクイニクスの日本法人です。東京、大阪を中心に展開し、クラウドプロバイダーや大手企業が主要顧客です。
建設・設備工事関連銘柄
きんでん(1944) 電気設備工事の最大手企業。データセンターの電気設備工事で国内トップシェアを誇ります。大規模データセンターの建設ラッシュにより、受注残高は過去最高水準に達しています。技術力の高さから、海外のハイパースケールデータセンター案件も受注しており、今後の成長が期待されます。配当性向も安定しており、中長期投資に適した銘柄です。
関電工(1942) 東京電力グループの電気設備工事会社。首都圏のデータセンター建設需要を取り込んでいます。再生可能エネルギー事業も展開し、環境配慮型データセンターの構築でも強みを発揮しています。
大気社(1979) 空調設備工事の専業メーカー。データセンターの冷却システムは高度な技術が必要で、同社は業界トップクラスの技術力を保有しています。サーバーの高密度化に伴い冷却需要が増加しており、今後の成長が見込まれます。
高砂熱学工業(1969) 空調設備工事の大手企業。データセンター向けの精密空調システムに強みがあります。省エネ性能の高い冷却システムの開発にも注力し、環境規制強化の追い風を受けています。
ダイダン(1980) 空調・衛生設備工事の大手企業。データセンター向けの精密空調システムと排熱処理技術に強みを持ちます。省エネルギー型の空調システム開発にも積極的で、環境規制強化の流れを追い風に業績を伸ばしています。大型データセンタープロジェクトへの参画実績も豊富です。
電源・UPS・冷却装置メーカー
富士電機(6504) 産業用電源装置とUPS(無停電電源装置)で国内トップシェア。データセンターの電源品質維持に不可欠な製品を提供しています。パワー半導体事業も手がけ、電動化社会でも成長が期待される銘柄です。PER15倍程度と割安感もあり、バリュー投資家からも注目されています。
ダイヘン(6622) 溶接機と電源機器の専業メーカー。データセンター向けUPSシステムで高いシェアを持ちます。品質と信頼性の高さから、金融機関やクラウド事業者に採用されています。
ニデック(6594) 精密モーターの世界的メーカー。データセンターの冷却ファンや電源用モーターで高いシェアを誇ります。M&Aによる事業拡大戦略も特徴で、今後も成長が期待されます。
山洋電気(6516) 小型精密モーターの専業メーカー。サーバー用冷却ファンのモーター部品を供給しています。ニッチ市場でのトップシェアと高収益性が魅力です。
ネットワーク機器・通信インフラ
古河電気工業(5801) 光ファイバーケーブルの国内最大手。データセンター間を結ぶ高速通信網の構築に欠かせない製品を提供しています。5G基地局向け需要も取り込み、通信インフラ投資の恩恵を受けています。銅価格の影響を受けやすい点は注意が必要です。
フジクラ(5803) 光ファイバー・ケーブルメーカー。データセンター内配線や通信キャリア向けに製品を供給しています。海外展開も積極的で、グローバルなデータセンター需要を取り込んでいます。
アンリツ(6754) 通信計測器の専業メーカー。データセンターのネットワーク品質測定機器で高いシェアを持ちます。5G・6G時代の通信インフラ整備に伴う需要増が見込まれます。
OKI(6703) 通信機器メーカー。データセンター向けネットワーク機器やATMなど金融機関向けシステムに強みがあります。構造改革により収益性が改善傾向にあります。
電力・エネルギー関連
東京電力ホールディングス(9501) 首都圏の電力供給を担う電力会社。データセンターの集積する東京エリアでの電力需要増加の恩恵を受けます。ただし、原発問題など経営リスクも存在します。
関西電力(9503) 関西エリアの電力供給大手。大阪のデータセンター集積地への電力供給で重要な役割を果たしています。原発再稼働による収益改善期待もあります。
北海道電力(9509) 北海道エリアの電力供給を担う電力会社。石狩市などデータセンター集積地への電力供給で重要な役割を果たしています。北海道の冷涼な気候はデータセンターの冷却コスト削減に有利で、今後もデータセンター誘致が進む見込みです。再生可能エネルギーの活用余地も大きく、グリーンデータセンター需要の取り込みが期待されます。
データセンター関連銘柄への投資戦略
長期投資vs短期投資
データセンター関連銘柄は、投資期間によって戦略が異なります。
長期投資に適した銘柄 建設需要は数年単位で継続するため、設備工事会社やREITは長期保有に適しています。配当再投資による複利効果も期待できます。具体的には、きんでん、富士電機、JDSCなどが長期投資候補となります。
短期投資に適した銘柄 AI関連ニュースに敏感に反応する銘柄は、短期トレーディングの対象となります。さくらインターネットなどの中小型成長株は、ボラティリティが高く短期売買に向いています。
リスク分散のポイント
データセンター関連といっても、事業内容は多岐にわたります。建設、設備、運営、通信など、複数のカテゴリーに分散投資することでリスクを低減できます。
また、大型株と中小型株を組み合わせることで、安定性と成長性のバランスを取ることができます。NTTのような大型株を中心に据え、さくらインターネットのような成長株を組み合わせる戦略が有効です。
注意すべきリスク要因
電力供給制約リスク 日本では電力供給能力の制約により、データセンター建設地が限られる可能性があります。特に首都圏では電力不足が懸念されています。
技術変化リスク クラウド技術の進化により、既存のデータセンター設備が陳腐化するリスクがあります。液冷システムなど新技術への対応が遅れた企業は競争力を失う可能性があります。
競争激化リスク 海外の大手データセンター事業者の日本進出により、競争が激化する可能性があります。価格競争が激しくなれば、収益性が悪化するリスクがあります。
規制リスク 環境規制の強化により、データセンターの消費電力削減が義務付けられる可能性があります。また、データ保護規制の強化も事業コストの増加要因となります。
2026年の市場展望とトレンド
AI需要の爆発的増加
生成AIサービスの普及により、GPU搭載サーバーの需要が急増しています。AIモデルの学習には膨大な計算リソースが必要で、従来の10倍以上の電力を消費するデータセンターが増えています。この傾向は2026年も継続し、AI特化型データセンターの建設が加速すると予想されます。
エッジデータセンターの拡大
5G普及に伴い、通信遅延を最小化するエッジコンピューティングの需要が高まっています。地方都市でも小規模データセンターの建設が進み、通信キャリアやクラウド事業者による分散配置が進むでしょう。
環境配慮型データセンターへのシフト
カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーを活用したグリーンデータセンターが注目されています。北海道や東北地方など、冷涼な気候と豊富な再生可能エネルギーを活用できる地域でのデータセンター建設が増加しています。
海外事業者の日本進出加速
AmazonやMicrosoft、Googleなどの海外ハイパースケーラーが、日本でのデータセンター投資を拡大しています。これにより、日本の建設会社や設備メーカーの受注機会が増加しています。
データセンター関連銘柄の選び方
ファンダメンタルズ分析のポイント
受注残高の確認 建設・設備工事会社では、受注残高が将来の売上を示す重要指標です。受注残高が増加傾向にある企業は、業績拡大が期待できます。
ROE(自己資本利益率) ROEが10%以上の企業は、効率的な経営を行っていると評価できます。データセンター関連では、REITやメーカーでROEが高い傾向があります。
負債比率 データセンター建設には多額の投資が必要です。負債比率が高すぎる企業は、金利上昇局面でリスクが高まります。
テクニカル分析の活用
データセンター関連銘柄は、AIブームなどのテーマ性から短期的に急騰することがあります。移動平均線やRSIなどのテクニカル指標を活用し、買いのタイミングを見極めることが重要です。
特に、25日移動平均線と75日移動平均線のゴールデンクロスは、上昇トレンド入りのシグナルとなります。
配当利回りと株主優待
長期投資では、配当利回りも重要な判断材料です。データセンターREITは4〜5%の配当利回りがあり、インカムゲイン狙いの投資に適しています。
また、一部の企業は株主優待制度を設けており、長期保有のメリットがあります。
まとめ:データセンター関連銘柄への投資
データセンター関連銘柄は、デジタル社会の基盤を支える成長セクターです。AI、クラウド、5G、6Gといった技術トレンドが追い風となり、中長期的な成長が期待できます。
投資にあたっては、建設、設備、運営、通信など複数のカテゴリーに分散し、リスクを管理することが重要です。また、大型株と成長株を組み合わせることで、安定性と成長性のバランスを取ることができます。
2026年以降もデータセンター需要は拡大が続く見込みであり、関連銘柄は注目のテーマ株として投資家の関心を集め続けるでしょう。ただし、電力供給制約や競争激化などのリスクにも留意し、定期的にポートフォリオを見直すことが成功への鍵となります。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。





















