金利と株価の関係は投資家の必須知識
投資において「金利と株価の関係」を理解することは不可欠です。
金利は企業の資金調達コスト、消費者の購買行動、投資家の資産配分に影響を与えるため、株価に直結します。
本記事では金利と株価の関係性、歴史から見る事例、投資家が取るべき戦略を分かりやすく解説します。
- 政策金利・長期金利の違い
- 金利が株価に与える4つのメカニズム
- 金利上昇・低下局面ごとの株式市場の動き
- セクター別の影響
- インフレや為替との相関
- 投資家が取るべき戦略とFAQ
金利の基礎知識と種類
政策金利(短期金利)
FRBや日銀など中央銀行が決定。景気刺激や抑制のために引き上げ・引き下げされます。
長期金利(10年国債利回り)
市場参加者の「将来の景気・インフレ期待」を反映。株価バリュエーションに大きな影響。
名目金利と実質金利
- 名目金利:そのままの利率
- 実質金利:名目金利 − インフレ率(投資判断で重要)
金利が株価に影響するメカニズム
- 割引率効果 – 金利が高いほど将来利益の現在価値は低下
- 資金調達コスト – 借入コスト増で企業利益を圧迫
- 資産配分効果 – 債券と株式の相対的魅力が変化
- 消費者行動 – ローン金利の上下が消費を左右
【図解】金利と株価の関係
フロー図で理解する金利と株価の関係

※出典:JPX 会社の株価の決まり方
個人で例えると住宅ローン金利が下がると住宅ローンを組みやすく買いやすい心理になりますが、金利が上がると躊躇してしまうと思います。企業においても同様にお金が借りにくくなり中小企業は事業を縮小せざるを得ない状況になります。
金利上昇局面での株価の動き
- グロース株(ハイテク株):割引率上昇で下落しやすい
- 金融株(銀行・保険):貸出金利上昇でプラス
- 高配当株・REIT:債券利回りと競合し売られやすい
歴史的事例
- 2018年:利上げ局面でナスダック調整
- 2022年:急速な利上げでハイテク株急落
金利低下局面での株価の動き
- グロース株や消費関連株が上昇
- 債券利回り低下により株式の魅力が増加
- REITや高配当株も資金流入
歴史的事例
- 2009年~:リーマン後のゼロ金利政策で株式市場回復
- 2020年:コロナ禍で利下げ → 株式市場急反発
セクター別の金利感応度
- 金融株:金利上昇に強い
- ハイテク株:金利上昇に弱い
- 不動産(REIT):金利上昇で下落
- 公益株:金利上昇局面では魅力減
金利・インフレ・為替の三角関係
- 金利上昇 → インフレ抑制 → ドル高傾向
- 金利低下 → 景気刺激 → ドル安傾向
為替市場を通じて輸出入企業の業績に影響。
投資家が取るべき戦略
金利上昇局面
- 金融株やバリュー株を強化
- 長期債の保有を控える
- ハイテク株比率を調整
金利低下局面
- グロース株を中心に投資拡大
- 高配当株やREITを組み入れる
- 株式比率を増やしてリスクを取る
FAQ(よくある質問)
Q1. 金利が上がると必ず株価は下がる?
必ずではありません。景気拡大期には「株高+金利高」が同時進行する場合もあります。
Q2. 米国金利は日本株にも影響する?
はい。米国金利が上がるとドル高・円安になりやすく、輸出企業の株価にプラス材料となります。
Q3. 初心者はどの金利をチェックすればいい?
最低限「FRBの政策金利」と「米10年国債利回り」を見ておけば十分です。
Q4. 金利上昇で有利なセクターは?
銀行・保険など金融株が有利。逆にハイテクやREITは弱い傾向があります。
Q5. 金利と為替は同時に見るべき?
はい。金利上昇 → ドル高 → 輸出株にプラス、といった連動を理解すると投資精度が上がります。
まとめ
金利は株式市場を動かす最重要ファクターです。
- 割引率効果
- 企業の資金調達コスト
- 投資家の資産配分
- 消費者行動を通じて株価に影響します。
特に株式投資を始めたばかりの方でも、よく耳する「政策金融」「長期金利」「国債利回り」というワードは株価に連動する重要なワードです。投資家はFRBの政策金利、長期金利(10年国債利回り)、インフレ指標を定期的にチェックし、ポートフォリオを柔軟に調整することが重要です。