【2026株トレンド】フィジカルAI関連銘柄完全ガイド|日本株・米国株の注目銘柄と投資戦略

【2026株トレンド】フィジカルAI関連銘柄完全ガイド

フィジカルAIとは?次世代AI技術の本命

フィジカルAI(Physical AI)とは、デジタル空間にとどまらず、物理的な現実世界で動作し、環境を認識・理解し、自律的に行動を起こすAIシステムを指します。これまでのAIが画面の中でチャットや画像生成を行う「デジタルの頭脳」だったのに対し、フィジカルAIはロボットや自動運転車として「物理的な身体」を持ち、実世界で活動する革新的な技術です。

エヌビディアの社長兼CEOジェンスン・ファン氏は、生成AIの次の波としてフィジカルAIを位置づけ、その市場規模は今後20兆円に達する可能性があると見通しています。

フィジカルAIの3つの核心能力

フィジカルAIシステムは以下の3つの重要な能力を備えています。

1. 環境認識能力
カメラ、LiDAR、各種センサーを通じて現実世界の状況をリアルタイムで把握し、物体の位置や動きを正確に認識します。

2. 推論・判断能力
収集したデータを瞬時に分析し、物理法則を考慮した上で最適な行動を決定します。従来のAIと異なり、重力、摩擦、慣性などの物理的制約を理解した判断が可能です。

3. 自律行動能力 判断に基づいて、ロボットアームや車輪などの物理的なアクチュエーターを制御し、実際に行動を実行します。予測不可能な環境変化にも柔軟に対応できる適応力が特徴です。

フィジカルAIの主要応用分野

フィジカルAIは製造業におけるスマートファクトリーの実現、物流・倉庫管理での自律走行型ロボットによる商品仕分け、医療分野での外科手術やリハビリ支援、そして農業における収穫や病害虫検知などの精密農業の実現に期待されています。

なぜ今フィジカルAI関連銘柄なのか?投資機会の背景

技術革新の加速

エヌビディアは2025年8月に、フィジカルAIとロボティクス向けに設計されたロボティクスコンピューター「NVIDIA Jetson AGX Thor」開発者キットの一般提供を開始しました。従来モデルと比較して、最大7.5倍のAIコンピューティング能力と3.5倍のエネルギー効率を実現しています。

労働力不足への解決策

日本をはじめとする先進国では、少子高齢化による労働力不足が深刻化しています。フィジカルAIを搭載したロボットは、製造、物流、建設、介護など人手不足が顕著な産業において、労働力を補完する重要な役割を担うことが期待されています。

巨大市場の形成

シティグループのアナリストは、AIロボットとヒューマノイドは、2035年までに13億台、2050年までに40億台のAIロボットが登場すると示唆されています。*1 この爆発的な成長は、フィジカルAI関連企業に莫大なビジネス機会をもたらします。

*1 出典:シティグループ The Rise of AI Robots Physical AI is Coming for You

米国株:フィジカルAI関連の注目銘柄

※株価はYahoo!ファイナンスに遷移します

1. エヌビディア(NVIDIA/NVDA)

フィジカルAIの中核プレイヤー
エヌビディアは、フィジカルAI分野において最も重要な企業です。同社は人型ロボット向けの汎用AIモデル「Project GR00T」、ロボット開発基盤「Isaac」の大型アップデート、そして人型ロボット用の新型AIコンピューター「Jetson Thor」を発表しました。GPUから開発プラットフォームまで包括的なソリューションを提供しています。

投資のポイント

  • データセンターGPU市場で98%のシェアを持つ圧倒的な市場支配力
  • ロボット開発プラットフォーム「Isaac」によるエコシステムの構築
  • アナリストのベス・キンディグ氏は、エヌビディアが2030年までに10兆ドルの時価総額に達すると予測しており、これは現在の株価から150%の上昇余地を示唆しています。

リスク要因
高いバリュエーション(PER約55倍)と、競合他社による市場シェア侵食の可能性に注意が必要です。

2. テスラ(Tesla/TSLA)

自動運転とヒューマノイドロボットの先駆者
テスラは電気自動車の最大手として知られていますが、AI開発にも注力しています。同社は人型ロボット「Optimus」の開発を進めており、CEOイーロン・マスク氏は「テスラはAIまたはロボティクス企業として考えられるべき」と述べています。

投資のポイント

  • 2025年から「Optimus」ロボットが数千台規模でテスラの工場で稼働を開始し、2026年には顧客への販売を開始する予定です。
  • 完全自動運転(FSD)技術の商用化による収益機会
  • 投資家ロン・バロン氏は、テスラが今後10年間で5兆ドルの企業価値に達する可能性があると予測しており、これは現在の時価総額から315%の上昇を意味します。

リスク要因
PER約170倍という極めて高い株価評価と、EV販売の伸び悩み、経営陣の政治的活動への懸念があります。投資には高いリスク許容度が求められます。

3. インテュイティブ・サージカル(Intuitive Surgical/ISRG)

医療用ロボットのリーディングカンパニー
手術支援ロボット「ダビンチ」で世界的に高いシェアを持つ医療機器メーカーです。医師による精密な操作をAIやロボティクス技術がサポートし、患者への負担が少ない低侵襲手術を実現します。

投資のポイント

  • 手術支援ロボット市場における確固たる地位
  • 医療現場でのフィジカルAI普及による恩恵を受ける代表的企業
  • 安定した収益基盤と高い利益率

リスク要因
医療規制の変更や競合製品の登場による市場シェアの低下リスクがあります。

4. アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)

エッジAIの有力プレーヤー
AMDは、AIインフラブームでエヌビディアに遅れをとっていましたが、フィジカルAIにおいては巻き返しの好位置にあります。同社はGPUとデータセンター市場でシェアを拡大しつつあり、AIをエッジに持ち込む取り組みを進めています。

投資のポイント

  • NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載したRyzenシリーズによるエッジAI対応
  • エヌビディアに対する代替選択肢としての需要拡大
  • 2025年時点で株価が過小評価されており、今後5〜10年で大幅な上昇が期待される

リスク要因
AI GPU市場でエヌビディアとの技術格差が依然として大きく、市場シェア拡大のペースが期待を下回る可能性があります。また、データセンター向けGPUの開発競争において、インテルやグーグル、アマゾンなどの自社開発チップとの競合も激化しています。PC市場の成長鈍化による従来事業への影響も注視が必要です。

5. アンバレラ(AMBA)

フィジカルAIの「眼」を提供する企業
アンバレラは最近、ビジネスの再編成を完了し、フィジカルAIの「眼」となる位置づけを確立しました。かつては単なる画像プロセッサーでしたが、現在はコンピュータービジョンとエッジコンピューティングに注力しています。

投資のポイント

  • 高解像度ビデオ圧縮と高度なエッジ解析を可能にする半導体プラットフォーム
  • 自動運転、航空宇宙、産業分野でのリアルタイム意思決定を実現
  • 2024年に成長軌道に復帰し、今後10年間は二桁成長が見込まれる

リスク要因
時価総額が比較的小さく、株価のボラティリティが高い点に注意が必要です。また、ビジネスの再編成を経たばかりで、フィジカルAI市場での競争力が実証されるまでには時間を要する可能性があります。自動運転市場の普及ペースが予想より遅れた場合、収益成長が期待を下回るリスクもあります。

日本株:フィジカルAI関連の注目銘柄

1. ソフトバンクグループ(9984)

AIとロボティクスへの戦略的投資家
孫正義会長兼社長は「人知を超えるASI(人工超知能)技術のプラットフォーマーを目指す」としており、AI分野への投資を強めています。2025年10月にスイスABBのロボティクス事業を約8,187億円で買収すると発表し、2026年半ばから後半に完了予定です。

投資のポイント

  • 世界4強の一角を占める産業用ロボット事業の獲得
  • 半導体、ロボット、データセンター、電力というAI重点投資領域の強化
  • ARM社を通じた半導体設計技術へのアクセス
  • 最近の東京市場で時価総額を爆発的に増やした銘柄の一つとして、日経平均株価への寄与度が高まっています。

リスク要因
投資先企業の業績変動の影響を受けやすく、高いボラティリティを伴います。

2. 安川電機(6506)

産業用ロボットの世界的リーダー
産業用ロボットやサーボモーターの分野で高い技術力を持つ大手メーカーで、世界4大ロボット企業の一社です。エヌビディアや富士通と連携してフィジカルAIの開発を進めています。

投資のポイント

  • 富士通とエヌビディアの戦略的協業拡大の第一弾として安川電機が連携し、フィジカルAIの社会実装を目指しています。
  • 工場自動化(FA)分野における確固たる地位
  • 製造業のフィジカルAI活用において中核的役割を担う
  • グローバルな販売ネットワークと技術サポート体制

リスク要因
中国市場の減速や設備投資サイクルの影響を受けやすい点に注意が必要です。

3. ファナック(6954)

工場自動化のパイオニア
工場の自動化をリードしてきた存在であり、フィジカルAIの活用が最も期待される製造業で重要な役割を担っています。同社の「フィールド・システム」は、設備データの収集・可視化・分析とアプリ活用を現場で完結できる基盤です。

投資のポイント

  • 世界最大の産業用ロボットメーカーとしての技術力
  • CNC(コンピュータ数値制御)装置とロボットの統合ソリューション
  • 製造現場のデジタル化・知能化における先進的な取り組み
  • 高収益体質と安定した財務基盤

リスク要因
製造業の設備投資動向に業績が左右されやすく、景気変動の影響を受けやすい点があります。

4. 富士通(6702)

エヌビディアとの戦略的パートナー
2025年10月にエヌビディアとAIエージェントを統合したフルスタックAIインフラストラクチャの構築を目指し、戦略的協業を拡大しました。ヘルスケア、製造、ロボティクスなどの領域に特化した産業向けのAIエージェントプラットフォームを開発しています。

投資のポイント

  • エヌビディアとの協業によるフィジカルAIインフラの構築
  • 独自CPU「FUJITSU-MONAKA」とエヌビディアGPUの統合
  • 日本企業の中でフィジカルAI分野の中心的存在
  • ITサービスとハードウェアの両面からソリューションを提供

リスク要因
事業の多角化により、フィジカルAI以外の事業セグメントの業績も株価に影響を与える点に注意が必要です。

5. キーエンス(6861)

センサーとAI画像処理のリーディングカンパニー
自動制御機器・センサー分野のリーディングカンパニーで、AI搭載センサーや画像処理技術を通じて、生産現場の自動化・最適化を推進しています。

投資のポイント

  • ロボットビジョンシステムで産業用ロボットの視覚を提供
  • AIを活用した高精度センサーで製造現場のスマート化を推進
  • 3次元認識技術によるロボット制御の高度化
  • 業界トップクラスのROEと営業利益率

リスク要因
株価が既に高水準で推移しており、バリュエーションの観点から慎重な検討が必要です。

6. 川崎重工業(7012)

多様なロボティクス技術を持つ重工メーカー
産業用・医療用ロボット、ドローンなどの実機開発を強みに持つ重工メーカーで、AI制御による自律動作や協働ロボットの分野で先行しています。物流・医療・建設現場など「人が介在する実環境」に適応するAIロボット開発が進んでいます。

投資のポイント

  • 「Kawasaki」ブランドで世界市場に展開される産業用ロボット
  • 協働ロボット開発で人とロボットの共存作業を実現
  • 物流自動化向けAMR(自律移動ロボット)でスマート物流を推進
  • ロボティクス事業の収益拡大余地が大きい

リスク要因
重工業セクターとしての景気敏感性と、多角的事業展開による業績の複雑性があります。

7. アドバンテスト(6857)

AI半導体テスターの最大手
最近の東京市場で時価総額を爆発的に増やした銘柄の一つで、日経平均株価への寄与度が高まり、かつてなく日経平均の値動きを左右する存在となっています。フィジカルAIを支える半導体の品質保証において不可欠な企業です。

投資のポイント

  • AI半導体の需要拡大に伴うテスター需要の増加
  • エヌビディアをはじめとするAI半導体メーカーの主要サプライヤー
  • 高度なテスト技術による参入障壁の高さ
  • 半導体サイクルの回復期における収益拡大

リスク要因
半導体市場の需給サイクルに業績が大きく左右される点に注意が必要です。

フィジカルAI関連銘柄への投資戦略

ポートフォリオ構築のアプローチ

コアホールディング(50-60%)
エヌビディア、ソフトバンクグループなど、フィジカルAIエコシステムの中核を担う企業を中心に据えます。これらは市場規模の拡大に伴い、最も大きな恩恵を受けると期待されます。

グロース銘柄(20-30%)
テスラ、アンバレラなど、高い成長ポテンシャルを持つ一方でリスクも高い銘柄に配分します。長期的な視点で保有することが重要です。

安定成長銘柄(20-30%)
ファナック、キーエンス、インテューイティブ・サージカルなど、既に市場での地位を確立し、安定した収益基盤を持つ企業に投資します。

投資タイミングの考え方

長期投資の重要性
フィジカルAI市場は今後10年以上にわたって成長が見込まれる分野です。短期的な株価変動に一喜一憂せず、5年以上の長期保有を前提とした投資が望ましいでしょう。

分割投資の実践
一度に大きな資金を投入するのではなく、3〜6ヶ月にわたって分割して投資することで、平均取得コストを抑え、リスクを分散できます。

リバランスの実施
年に1〜2回、ポートフォリオを見直し、各銘柄の比率が当初の計画から大きく乖離していないか確認します。必要に応じて売買を行い、リスクレベルを適切に維持します。

リスク管理の重要性

バリュエーションへの注意
フィジカルAI関連銘柄の多くは高いPERで取引されています。業績の成長期待が織り込まれているため、期待に応えられない場合は大きな株価下落のリスクがあります。

技術リスクの認識
フィジカルAIは発展途上の技術であり、技術的なブレークスルーが遅れたり、想定外の技術的課題が発生したりする可能性があります。

規制リスクへの対応
AI技術に対する規制が各国で議論されており、規制の内容によっては事業展開に制約が生じる可能性があります。最新の規制動向を注視することが重要です。

ポートフォリオの分散
フィジカルAI関連銘柄に資産の全てを集中させるのではなく、他のセクターや資産クラスと組み合わせることで、リスクを分散することが賢明です。

今後の展望と市場動向

2025年〜2030年の市場予測

フィジカルAI市場は今後5年間で爆発的な成長が予想されます。製造業における自動化の加速、自動運転車の商用化、医療・介護分野でのロボット導入拡大など、様々な領域で実用化が進むでしょう。

特に日本市場では、製造業における労働力不足という社会課題がフィジカルAI導入の強力な追い風となります。民間調査によると「多用途ロボット*2 市場の規模は2030年頃を境に急拡大し、2040年までに約60兆円規模となる見込み。」*3となっています。

*2 特に、ここではヒューマノイドや4足歩行型、モバイルマニピュレーターといった形態を念頭に置いている。
*3 出典:経済産業省 AIロボティクス検討会参考資料

注目すべき技術トレンド

エッジAIの進化
クラウドではなく、デバイス側でAI処理を行うエッジAIの進化により、リアルタイム性と省電力性が向上し、フィジカルAIの実用性が大きく高まります。

マルチモーダルAIの発展
視覚、聴覚、触覚など複数の感覚情報を統合して処理するマルチモーダルAIにより、ロボットの環境認識能力が飛躍的に向上します。

汎用ロボットの登場
特定の作業に特化したロボットから、様々なタスクをこなせる汎用ロボットへの進化により、市場規模が大きく拡大する可能性があります。

投資家が注目すべきポイント

企業発表とニュース
エヌビディアの新製品発表、テスラのOptimusロボットの進捗、各社の協業や提携のニュースは株価に大きな影響を与えます。定期的に情報をチェックしましょう。

決算内容の精査
売上高や利益だけでなく、フィジカルAI関連事業の受注状況、研究開発投資の動向、新製品のロードマップなどに注目します。

マクロ経済環境
金利動向や景気サイクルは、特に成長株の株価に大きな影響を与えます。金利上昇局面では株価が調整する傾向があるため、マクロ環境も考慮した投資判断が重要です。

まとめ:フィジカルAI投資で成功するために

フィジカルAIは、生成AIに続く次世代AI技術の本命として、今後10年間で最も成長が期待される分野の一つです。製造業、物流、医療、農業など、幅広い産業に革命をもたらす可能性を秘めています。

投資家にとって、この大きなトレンドの初期段階に参加することは、長期的な資産形成において有利な機会となるでしょう。ただし、高いバリュエーションや技術リスク、規制リスクなども存在するため、慎重なリスク管理と長期的な視点が不可欠です。

米国株ではエヌビディア、テスラ、AMD、日本株ではソフトバンクグループ、安川電機、ファナックなど、各社の強みと特徴を理解した上で、自身の投資目標とリスク許容度に合わせたポートフォリオを構築することをお勧めします。

フィジカルAIという大きな波に乗り、未来の成長を先取りする投資戦略を実践していきましょう。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。