2026年に入り、米国エネルギーセクターは引き続き大きな注目を集めています。トランプ政権2年目に入り、石油・天然ガス産業への規制緩和と生産拡大政策が本格化する一方、AI・データセンター需要の爆発的な増加により電力インフラへの投資が一層活性化しています。本記事では、投資家にとって魅力的な米国エネルギー関連株10社を、配当利回り、成長性、事業の安定性などの観点から詳しく解説します。
米国エネルギーセクターの現状と投資機会
米国は世界最大級の原油生産国であり、シェールオイル・ガス革命により「エネルギー大国」としての地位を確立しました。2025年1月に就任したトランプ大統領の政策が本格的に実施される2026年は、沖合海域や連邦政府所有地での石油・ガス生産がさらに拡大し、LNG輸出も加速しています。
さらに、AI革命による電力需要の急増は、再生可能エネルギー企業にとっても大きなビジネスチャンスとなっています。GoogleやMicrosoftなどのテック大手が原子力発電所の再稼働契約を結ぶなど、エネルギーインフラへの投資が加速しています。
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1. エクソンモービル(Exxon Mobil / XOM):世界最大級の石油メジャー
企業概要と事業内容
エクソンモービルは、スーパーメジャーと呼ばれる世界最大級の石油・天然ガス企業です。1999年にエクソンとモービルが合併して誕生し、ロックフェラーの系譜を持つ老舗企業として知られています。
同社は石油・ガスの探鉱から生産、輸送、精製、販売まで一貫して手掛ける垂直統合型のビジネスモデルを採用しており、21カ国に38の石油精製所、1万カ所以上のガソリンスタンドを展開しています。
投資のポイント
- 配当貴族銘柄:長期にわたり毎年配当を増やしている「配当貴族」に認定されており、安定した配当収入が期待できます
- 割安なバリュエーション:PER(株価収益率)は14.37と過去10年の平均よりも低く、割安感があります
- 政策的追い風:トランプ政権下での規制緩和により、国内生産の拡大と収益向上が見込まれます
- 多角化戦略:再生可能エネルギー部門への投資も進めており、長期的な成長性も確保しています
配当利回りと財務指標
エクソンモービルは3〜4%程度の配当利回りを維持しており、景気変動の影響を受けやすいエネルギーセクターにおいても、安定した配当実績を誇ります。
2. シェブロン(Chevron / CVX):米国第2位の総合エネルギー企業
企業概要と事業内容
シェブロンは米国で2番目に大きな石油・ガス企業で、スーパーメジャーの一角を占めています。探査、生産、精製を含む統合型エネルギー事業を展開し、北米からアジア、オーストラリアまで幅広い地域で活動しています。
1日の生産量は約310万バレルの石油換算量に及び、LNGや天然ガスの生産、精製施設も保有しています。
投資のポイント
- 配当貴族銘柄:シェブロンも配当貴族に認定されており、短期・長期投資家の両方に人気があります
- 割安な株価水準:PERは14.98と過去10年間の平均26を大きく下回っており、投資家にとって割安感があります
- 事業多角化:天然ガスやLNG輸出、再生可能エネルギーへの移行にも対応しており、どのような政策環境でも成長が期待できます
- 530億ドルのM&A:ヘス(HES)の買収により、さらなる事業拡大と規模の経済を実現する計画です
市場での位置づけ
シェブロンは安定した配当と堅実な経営で知られ、エネルギーセクターの中核銘柄として多くの機関投資家にも保有されています。
3. コノコフィリップス(ConocoPhillips / COP):独立系石油会社の雄
企業概要と事業内容
コノコフィリップスは米国の大手エネルギー会社で、石油や天然ガスの探鉱・生産を行うエネルギーの上流企業です。米国、カナダ、ノルウェーなどで事業を展開し、赤道ギニアでは天然ガスの液化、再ガス化なども手掛けています。
投資のポイント
- 上流特化型:精製や販売を行わず、探鉱・生産に特化しているため、原油価格の上昇局面で大きな利益を上げやすい
- アナリストの高評価:2026年もエネルギーセクターの中核銘柄として、多くの金融機関が推奨しています
- 高いフリーキャッシュフロー:エネルギーセクターの平均的なレベル(約4%)を大きく上回る約10%のフリーキャッシュフロー収益率を誇ります
4. オクシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum / OXY):バフェット氏注目の石油株
企業概要と事業内容
オクシデンタル・ペトロリアムは、米国の主要な石油・ガス企業の一つで、主にパーミアン盆地やメキシコ湾沖で探査・生産を行っています。また、二酸化炭素(CO₂)の回収・貯留技術にも注力しており、持続可能なエネルギーソリューションへの取り組みを進めています。
投資のポイント
- バフェット氏の大量保有:バークシャー・ハサウェイは発行済み株式の28.15%を所有しており、評価額は約125億ドルに達します
- パーミアン盆地の豊富な権益:米国のテキサス州西部とニューメキシコ州南東部にまたがるパーミアン盆地に広大な権益を保有
- 大型M&Aの完了:2024年8月にシェール大手クラウンロックとの統合が完了し、生産能力が大幅に向上
- CO₂回収技術:環境規制が強化されるシナリオにおいても、同社の持つCO₂回収技術が優位性を発揮します
バフェット氏が買い増す理由
著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、2024年末から継続的にオクシデンタル株を買い増しており、2026年初頭時点でも保有を継続しています。原油価格の変動や経済の不確実性がある中でも、同社の長期的な価値と成長ポテンシャルを見込んでいると考えられています。
5. デボンエナジー(Devon Energy / DVN):シェールガス開発の先駆者
企業概要と事業内容
デボンエナジーは米国の独立系石油・天然ガス企業で、天然ガス、天然ガス液体および精油の探査・開発などを行っています。ペンシルバニア州とウェストバージニア州にまたがる地域に天然ガス田を所有し、アパラチア山脈地方にも優良な天然ガス田を保有しています。
投資のポイント
- アナリストの注目銘柄:2026年もエネルギーセクターの有力企業として評価されています
- 天然ガス需要の増加:LNG輸出の拡大や発電用途での需要増加により、天然ガス価格の上昇が期待されます
- 水処理事業も展開:エネルギー開発だけでなく、水処理事業にも進出しており、事業の多角化を図っています
6. ダイアモンドバック・エナジー(Diamondback Energy / FANG):パーミアン盆地の有力企業
企業概要と事業内容
ダイアモンドバック・エナジーは、パーミアン盆地に特化した独立系石油・天然ガス会社です。同盆地は米国最大のシェールオイル生産地域であり、同社はこの地域で効率的な生産活動を展開しています。
投資のポイント
- アナリストの推奨銘柄:2026年も北米エネルギー企業の中核銘柄として注目されています
- パーミアン盆地への集中投資:最も生産性の高い地域に特化することで、高い収益性を実現しています
- 業界再編の受益者:エネルギーセクターの大型M&Aが進む中、買収対象または買収側として更なる成長が期待されます
7. ネクステラ・エナジー(NextEra Energy / NEE):再生可能エネルギーのリーダー
企業概要と事業内容
ネクステラ・エナジーは北米最大規模の電力・エネルギーインフラ企業で、再生可能エネルギーの分野ではトップクラスを誇ります。フロリダ州最大の電力会社フロリダ・パワー&ライト(FPL)と、再生可能エネルギーを手掛けるネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)が中核企業です。
投資のポイント
- 再生可能エネルギーの最前線:風力・太陽光発電など再生可能エネルギーを手がけ、発電容量は約3万3,410MWに達します
- 原子力発電所の再稼働:2025年10月、アイオワ州のデュアン・アーノルド原発の運転を2029年第1四半期までに再開すると発表し、IT大手Googleと電力供給契約を締結。2026年も準備が進行中です
- AI需要の恩恵:データセンター向けの電力需要増加により、エネルギーインフラへの投資が拡大しています
- 安定した配当:配当利回りは約2.73%で、公益事業セクターとして安定した配当を維持しています
- 成長目標:2035年まで年率8%以上の調整後EPS成長率を維持する目標を掲げています
8. スンコー・エナジー(Suncor Energy / SU):カナダ最大のエネルギー企業
企業概要と事業内容
スンコー・エナジーはカナダを拠点としたエネルギー企業で、カナダのほか米国、アジア太平洋地域でも事業を展開しています。原油や天然ガスの生産、精製やアップグレードを行い、上流から小売りなどの下流まで幅広く展開しています。
投資のポイント
- 垂直統合型ビジネス:生産から精製、販売まで一貫して手掛けることで、安定した収益構造を確立
- オイルサンド資源:カナダの豊富なオイルサンド資源へのアクセスがあり、長期的な生産基盤を持っています
- 配当利回り:エネルギー株の中でも比較的高い配当利回りを提供しています
9. デューク・エナジー(Duke Energy / DUK):米国大手電力・公益事業会社
企業概要と事業内容
デューク・エナジーは米国の大手電力・エネルギー企業で、電力インフラ事業、ガスインフラ事業、再生可能エネルギー事業などを展開しています。米国南東部を中心に約800万の顧客にサービスを提供しています。
投資のポイント
- 公益事業の安定性:規制された公益事業として、景気変動に左右されにくい安定した収益基盤を持っています
- 高配当利回り:配当利回りは4〜5%程度と高水準で、インカムゲイン重視の投資家に人気があります
- 再生可能エネルギーへの移行:太陽光発電や風力発電への投資を拡大し、脱炭素化に対応しています
- 電力需要の増加:データセンターやEV充電インフラの普及により、電力需要の長期的な成長が見込まれます
10. キンダー・モルガン(Kinder Morgan / KMI):エネルギー輸送インフラの大手
企業概要と事業内容
キンダー・モルガンは北米最大級のエネルギー輸送・貯蔵インフラ企業で、天然ガスパイプライン、石油パイプライン、貯蔵施設などを運営しています。米国内に約83,000マイルのパイプラインネットワークを保有しています。
投資のポイント
- インフラ資産の安定性:エネルギー輸送インフラは景気変動の影響を受けにくく、安定したキャッシュフローを生み出します
- 高配当利回り:配当利回りは5〜6%程度と高く、インカム投資家に適しています
- LNG輸出増加の恩恵:米国のLNG輸出拡大により、天然ガスパイプラインの需要が増加しています
- 実物資産の価値:インフレ環境下でも、実物資産としてのインフラは価値を維持しやすい特性があります
エネルギー株投資の戦略とリスク管理
投資戦略のポイント
1. ポートフォリオの分散
伝統的な石油・ガス株と再生可能エネルギー株をバランスよく組み合わせることで、政策変更や市場環境の変化に対応できます。
2. 配当再投資戦略
エネルギー株の多くは高配当を提供しており、配当を再投資することで複利効果を享受できます。
3. 原油価格との相関を理解する
石油・ガス株は原油価格の変動に大きく影響されます。WTI原油先物やブレント原油価格の動向を常にチェックしましょう。
4. 政策動向に注目
トランプ政権のエネルギー政策や環境規制の動向は、セクター全体に大きな影響を与えます。
主要なリスク要因
1. 原油価格の変動リスク
原油価格は地政学リスク、需給バランス、OPEC+の生産調整などにより大きく変動します。
2. 規制・政策リスク
環境規制の強化や炭素税の導入など、政策変更により収益性が影響を受ける可能性があります。
3. エネルギー転換リスク
長期的には、再生可能エネルギーへの移行により、化石燃料需要が減少する可能性があります。
4. 地政学リスク
中東情勢の緊迫化や国際紛争により、原油供給が不安定化するリスクがあります。
セクター別の投資アプローチ
伝統的エネルギー株(石油・ガス)
代表銘柄:エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス、オクシデンタル
投資メリット:
- 高配当利回り(3〜5%)
- 配当貴族銘柄も多く、安定した配当成長
- トランプ政権下での規制緩和による追い風
- 原油価格上昇局面での大きなリターン
適した投資家:
- インカムゲイン重視の投資家
- 景気回復・原油価格上昇を見込む投資家
- 短中期的なリターンを狙う投資家
再生可能エネルギー・公益事業株
代表銘柄:ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー
投資メリット
- 長期的な成長性(年率8%以上の成長目標)
- AI・データセンター需要による電力需要増加
- ESG投資の観点から機関投資家の資金流入
- 景気変動に強い安定した事業基盤
適した投資家:
- 長期投資家
- ESG投資に関心のある投資家
- 成長とインカムのバランスを求める投資家
インフラ・中流部門株
代表銘柄:キンダー・モルガン
投資メリット
- 非常に高い配当利回り(5〜6%)
- 景気変動に左右されにくい料金収入モデル
- 実物資産としてのインフレヘッジ効果
- LNG輸出拡大による需要増加
適した投資家
- 高配当重視の投資家
- 安定したキャッシュフローを求める投資家
- インフレヘッジを目的とする投資家
2026年のエネルギーセクター見通し
トランプ政権のエネルギー政策
トランプ大統領就任2年目の2026年は、「Drill, Baby, Drill(掘って、掘って、掘りまくれ)」スローガンの下での政策が本格的に効果を発揮する年となっています。具体的な政策は以下の通りです。
- LNG輸出の本格拡大:2025年に審査が再開されたLNG輸出認可により、2026年は実際の輸出量が大幅に増加しています
- 連邦政府所有地での掘削拡大:沖合海域や連邦政府所有地での石油・ガス生産が本格化し、生産量が増加傾向にあります
- 環境規制の緩和継続:前政権の環境政策の見直しが進み、エネルギー産業の規制負担が軽減されています
業界再編の加速
米国エネルギーセクターでは2024年から2025年にかけて大型M&Aが活発化し、2026年はこれらの統合効果が本格的に現れ始めています。
- エクソンモービル:パイオニア・ナチュラル・リソーシズを約600億ドルで買収し、統合が完了
- シェブロン:ヘスを530億ドルで買収し、2026年中の統合完了を目指しています
- オクシデンタル:クラウンロックとの統合が完了し、シナジー効果が表れています
これらの大型再編により、規模の経済が働き、コスト削減と生産効率の向上が実現されています。2026年はさらなる業界再編の可能性も指摘されています。
AI革命とエネルギー需要
生成AIとデータセンターの爆発的な成長により、電力需要が急増し続けています。2026年時点で、GoogleやMicrosoftなどのテック大手は、安定した電力供給を確保するため、原子力発電所の再稼働契約を複数締結しており、この動きはさらに加速しています。この傾向は、電力・公益事業セクターに長期的な追い風となっており、2026年も投資が継続的に拡大しています。
まとめ:自分に合ったエネルギー株を選ぼう
米国エネルギー関連株は、高配当、安定したキャッシュフロー、そして政策的な追い風という魅力的な投資機会を提供しています。投資目的に応じて以下のように銘柄を選択することをおすすめします:
配当重視の投資家向け
- エクソンモービル(XOM):配当貴族、3〜4%の配当利回り
- シェブロン(CVX):配当貴族、安定した配当成長
- キンダー・モルガン(KMI):5〜6%の高配当利回り
- デューク・エナジー(DUK):4〜5%の配当利回り、公益事業の安定性
成長性重視の投資家向け
- ネクステラ・エナジー(NEE):年率8%以上の成長目標、再生可能エネルギーのリーダー
- ダイアモンドバック・エナジー(FANG):パーミアン盆地の高効率生産
- コノコフィリップス(COP):上流特化、原油価格上昇の恩恵
バリュー投資家向け
- オクシデンタル(OXY):バフェット氏の大量保有、割安なPER 12.72
- エクソンモービル(XOM):PER 14.37、過去平均を下回る水準
- シェブロン(CVX):PER 14.98、過去10年平均26を大幅に下回る
バランス型投資家向け
エネルギーセクターETFも選択肢の一つです:
- バンガード米国エネルギー・セクターETF(VDE):米国エネルギー株に幅広く分散投資
- iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF:世界のエネルギー企業に投資
投資を始める前のチェックリスト
- 自分の投資目的を明確にする:配当収入か、キャピタルゲインか、あるいはその両方か
- リスク許容度を把握する:原油価格変動や地政学リスクに耐えられるか
- 投資期間を決める:短期(1〜2年)、中期(3〜5年)、長期(5年以上)
- ポートフォリオ全体でのバランスを考える:エネルギー株の比率は10〜20%程度が目安
- 定期的な見直しを行う:原油価格、政策動向、決算内容をチェック
エネルギーセクターは、世界経済の根幹を支える重要な産業です。適切な銘柄選択とリスク管理を行うことで、安定した配当収入と長期的な資産成長を両立できる魅力的な投資先となります。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。




















