2027年に向けて日本株のポートフォリオを組むなら、AIや半導体のような「攻め」の銘柄だけでなく、景気に左右されにくく、それでいて国の予算が確実に流れ込むテーマを組み合わせておくことが重要です。本シリーズVol.2では、その条件を満たすテーマとして「フードテック」と「社会インフラ」を取り上げます。
どちらも一見すると地味な領域ですが、2027年は制度と予算の両面で節目を迎えます。国土交通省は2027年度予算の概算要求で、上下水道管の更新や道路・鉄道の老朽化対策に前年度比34%増の1兆1,591億円を計上しました。さらに2027年度からは、汚水管の改築に国の支援を受けるための条件として「ウォーターPPP」の導入決定が求められます。食の分野では、フードテックが高市政権の成長戦略で重点投資する「戦略17分野」の一つに位置づけられています。
本記事では、この2つのテーマから8銘柄を厳選し、選定理由、2027年に注目すべきポイント、保有前に押さえておきたい注意点を整理しました。
この記事の結論
結論1:2027年度は上下水道の老朽化対策予算が大きく増え、ウォーターPPPの要件化で民間企業の受注機会が制度的に拡大する年になる。
結論2:フードテックは代替肉ブームではなく、アミノ酸・植物性油脂・冷凍・低温物流といった「稼げる技術」を持つ企業で選ぶのが現実的。
結論3:8銘柄はディフェンシブ性の高い食品株と、国策の追い風を受けるインフラ株に分かれるため、両方を組み合わせることで値動きの偏りを抑えられる。
2027年に保有したい日本株Vol.2|厳選8銘柄一覧
まずは今回取り上げる8銘柄を一覧で確認しておきましょう。前半4銘柄がフードテック関連、後半4銘柄が社会インフラ関連です。
| コード | 銘柄名 | テーマ | 2027年の注目ポイント |
| 2802 | 味の素 | フードテック | アミノ酸技術の食品・半導体材料への横展開 |
| 2897 | 日清食品HD | フードテック | 完全栄養食「完全メシ」と海外即席めん |
| 2871 | ニチレイ | フードテック | 冷凍食品と低温物流の両輪 |
| 2607 | 不二製油 | フードテック | 植物性油脂の最高益と米国事業の再建 |
| 6370 | 栗田工業 | 社会インフラ | 超純水の長期サービス契約と水処理技術 |
| 9551 | メタウォーター | 社会インフラ | 上下水道設備と官民連携の運営受託 |
| 4204 | 積水化学工業 | 社会インフラ | 下水道管を掘らずに直す管路更生工法 |
| 5076 | インフロニアHD | 社会インフラ | インフラ運営と建設の一体型モデル |
※業績予想・株価指標は2026年8月〜9月上旬に公表された会社予想および市場データを参考にしています。最新の数値は各社の開示資料でご確認ください。
なぜ2027年に「食」と「インフラ」なのか|3つの構造変化
フードテックと社会インフラは、どちらも人口減少や老朽化といった日本固有の課題と直結しています。課題が深刻であるほど予算と制度が動き、その恩恵を受ける企業の業績が安定しやすくなります。2027年に向けて押さえておきたい構造変化は次の3つです。
変化1:国交省の2027年度概算要求で老朽化対策が34%増
国土交通省が2026年8月に公表した2027年度予算の概算要求は、一般会計で8兆7,694億円と2026年度当初比44%増の大型要求となりました。このうち、上下水道管の更新や道路・鉄道の老朽化対策には1兆1,591億円が充てられ、34%の増額です。2026年7月の熊本地震で断水被害が相次いだことも、インフラの予防保全を急ぐ理由となっています。
背景には、2025年1月に埼玉県八潮市で起きた大規模な道路陥没事故があります。事故以降、全国の自治体が下水道管の緊急点検に乗り出し、政府は国土強靱化の次期計画で、口径2メートル以上かつ損傷リスクの高い下水道管の更新を2030年度までに完了させる目標を掲げました。老朽化対策は一過性のテーマではなく、少なくとも2030年まで続く「予算が約束された需要」といえます。
変化2:2027年度からウォーターPPPが国費支援の要件に
投資家として特に注目したいのが「ウォーターPPP」です。これは自治体が上下水道施設の維持管理と更新工事を、長期契約でまとめて民間に委ねる官民連携の仕組みです。国は、2027年度以降に汚水管の改築で国費支援を受けるには、ウォーターPPPの導入が決定済みであることを要件としました。
つまり、国の補助を使って下水道管を直したい自治体は、民間への包括委託を事実上避けられなくなります。職員不足と財源不足に悩む自治体が増えるほど、設計・施工・運営を一括で請け負える企業に案件が集まりやすくなります。2027年は、この制度変更が実際の受注として表れ始める最初の年です。
変化3:フードテックが成長戦略の「戦略17分野」に
食の分野では、フードテックが高市政権の成長戦略で重点投資の対象となる戦略17分野の一つに選ばれています。政府は2026年6月、17分野で2040年までに累計370兆円超の官民投資を見込むロードマップ案を示しました。2027年度予算は、このロードマップを具体化する最初の当初予算となります。
ただし、フードテックと聞いて代替肉や培養肉の新興企業を思い浮かべる方は注意が必要です。こうした領域は技術的な話題性は高いものの、黒字化に時間がかかるケースが少なくありません。本記事では、アミノ酸、植物性油脂、冷凍技術、低温物流といった「すでに利益を生んでいる食の技術」を持つ大手企業を中心に選定しています。
選定基準
1. 2027年に予算・制度・事業計画のいずれかで具体的な節目がある
2. テーマ関連事業がすでに利益を生んでおり、期待先行ではない
3. 東証プライム上場で流動性があり、長期保有しやすい
4. 配当や財務の安定性があり、相場が荒れた局面でも保有を続けやすい
フードテック関連|2027年に保有したい4銘柄
食品株は景気後退局面でも需要が落ちにくいディフェンシブ銘柄として知られています。そこに独自の技術力が加わることで、値上げが通りやすく、海外でも稼げる企業が生まれます。ここでは技術を収益に変えている4社を紹介します。
※株価はYahoo!ファイナンスに遷移します
1. 味の素(2802)|アミノ酸技術で食と半導体の両方を取りにいく
| 事業の柱 | 調味料・食品、冷凍食品、ヘルスケア、電子材料(ABF) |
| 2027年3月期 会社予想 | 売上高1兆7,230億円(前期比8.8%増)、事業利益1,970億円(同8.7%増) |
| 配当予想 | 年50円(前期比2円増配) |
| 2027年の注目点 | アミノ酸由来の素材技術を食品・医薬・電子材料に展開する成長ストーリーの持続性 |
味の素は、うま味調味料で培ったアミノ酸の発酵・精製技術を核に、食品から医薬品原料、さらには半導体パッケージ基板に使われる絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」まで事業を広げてきた企業です。食品メーカーでありながら、AI向け半導体の需要拡大の恩恵も受けられる点が他社にない特徴です。
2027年3月期は事業利益で約9%の増益を計画しており、2026年8月に発表された第1四半期の税引前利益は市場予想を1割近く上回りました。最終利益は前期に本社ビル売却益を計上した反動で減益予想となっていますが、本業の稼ぐ力は伸びています。
ポイント:電子材料は半導体市況の影響を受けるため、食品株としては株価の振れ幅が大きくなることがあります。ディフェンシブ銘柄としてだけでなく、半導体関連としての側面も持つ銘柄と理解しておきましょう。
2. 日清食品ホールディングス(2897)|完全栄養食と海外で稼ぐ力
| 事業の柱 | 国内即席めん、低温・飲料・菓子、海外(米州・中国・アジア・EMEA) |
| 2027年3月期 市場予想 | 経常利益708億円前後(前期比8.7%増、2026年8月末時点のコンセンサス) |
| テーマとの接点 | 栄養バランスを設計した「完全メシ」ブランド、フードサイエンス研究 |
| 2027年の注目点 | 海外事業の利益成長と、健康価値を付加した高価格帯商品の拡大 |
日清食品は、カップヌードルに代表される即席めんの世界的ブランドを持つ一方で、1食で必要な栄養素をバランスよくとれる「完全メシ」シリーズを展開しています。これは味を損なわずに栄養設計を行う技術そのものであり、日本発フードテックの代表的な成功例といえます。社員食堂への導入なども進み、健康志向という長期トレンドに乗った事業です。
収益面では海外事業の比重が高まっており、米州や中国での価格改定と高付加価値商品の拡販が利益を押し上げてきました。2026年8月末時点のアナリスト予想では、2027年3月期の経常利益は8%台の増益が見込まれています。
ポイント:大手証券の投資判断は「中立」が中心で、目標株価も3,000円前後に集まっています。急騰を狙う銘柄ではなく、安定成長と配当を積み上げる銘柄として、押し目を拾う姿勢が向いています。
3. ニチレイ(2871)|冷凍食品と低温物流という二重の参入障壁
| 事業の柱 | 食品(売上構成比57.8%)、低温物流(同40.8%) |
| 株価指標(2026年9月7日時点) | 予想PER19.4倍、予想配当利回り3.17% |
| 2027年3月期 会社予想 | 経常利益309億円(前期比2.6%増) |
| 2027年の注目点 | 冷凍食品需要の拡大と、冷蔵倉庫・物流網のインフラ価値 |
ニチレイは冷凍食品の大手であると同時に、国内最大級の冷蔵倉庫網を持つ低温物流の企業でもあります。食品をつくる技術と、それを鮮度を保ったまま届けるインフラの両方を持っている点が、今回のテーマ「フードテック」と「社会インフラ」の橋渡し役ともいえる存在です。
冷凍技術の進化によって、冷凍食品は「手抜き」ではなく「おいしく時短できる選択肢」へと評価が変わりつつあります。共働き世帯や単身世帯の増加、外食産業の人手不足による業務用冷凍食品の需要拡大は、2027年以降も続く構造的な追い風です。冷蔵倉庫は新たに建設するのに時間と資本がかかるため、既存の物流網そのものが大きな参入障壁になっています。
ポイント:2026年7月にはサイバー攻撃によるシステム障害で出庫業務が一時停止し、通期で約50億円の売上減少が見込まれています。業務はすでに正常化していますが、再発防止策の進捗と下期の業績回復を確認してから買い増すのが慎重な進め方です。
4. 不二製油(2607)|植物性油脂で過去最高益、再建が進めば上振れ余地
| 事業の柱 | 業務用チョコレート、植物性油脂(CBEなど)、乳化・発酵素材、大豆加工素材 |
| 2026年3月期 実績 | 売上高7,722億円、事業利益360億円(過去最高) |
| 2027年3月期 会社予想 | 売上高7,540億円、当期利益195億円(前期比75%増) |
| 2027年の注目点 | 植物性油脂の高収益継続と、米国チョコレート子会社の構造改革 |
不二製油は、カカオバターの代わりに使える植物性油脂(CBE)で世界トップクラスのシェアを持つ食品素材メーカーです。大豆たんぱくを使った植物性素材にも古くから取り組んでおり、植物由来の原料で動物性食品に近い食感や風味を実現する技術は、まさにフードテックの中核といえます。
カカオ価格の高騰によって、チョコレートメーカーの間では高価なカカオバターを代替する素材への需要が強まりました。その結果、植物性油脂事業が大きく伸び、2026年3月期の事業利益は360億円と過去最高を更新しています。株価も2026年4月の年初来安値3,041円から、8月下旬には4,600円前後まで回復しました。
ポイント:2019年に買収した米国の業務用チョコレート子会社ブラマーは、2026年3月期に事業損失を計上し、2026年4月には減損損失も発生しています。カカオ価格が落ち着いた場合に植物性油脂の追い風が弱まる可能性もあるため、米国事業の再建状況とあわせて見極めが必要です。
社会インフラ関連|2027年に保有したい4銘柄
社会インフラ関連株の魅力は、需要が景気ではなく「老朽化のスケジュール」と「国の予算」で決まる点にあります。ここでは、上下水道を中心に、2027年度の制度変更で受注拡大が見込まれる4社を紹介します。
5. 栗田工業(6370)|水処理の最大手、超純水の長期契約が安定収益に
| 事業の柱 | 水処理薬品、水処理装置、超純水供給などのサービス事業 |
| 2027年3月期 会社予想 | 売上高4,250億円、税引前利益650億円(前期比11.8%増) |
| 市場の評価 | 2026年6月に国内大手証券が強気判断を維持し、目標株価を11,900円に引き上げ |
| 2027年の注目点 | 国内外の半導体工場向け超純水需要と、工場排水・水再利用の拡大 |
栗田工業は総合水処理の国内最大手です。最大の強みは、半導体工場などで使われる超純水について、装置を売って終わりではなく、設備の建設から運転管理、メンテナンスまでを一括して担い、その対価として継続的に料金を受け取るサービス型のビジネスモデルにあります。いったん契約すると長期にわたって収益が積み上がるため、景気の波に強い体質です。
2027年は、国内外で新設・増設が続く半導体工場の稼働が本格化する時期と重なります。半導体の製造には大量の超純水が必要で、工場が動けば動くほど水処理のサービス収入が増える構造です。加えて、水資源の制約が厳しい地域では排水の再利用技術への需要も高まっています。
ポイント:予想PERは20倍前後と、インフラ株の中では割高感のある水準です。半導体の設備投資計画が延期された場合は、装置事業の受注に影響が出る可能性があります。
6. メタウォーター(9551)|上下水道設備の専業、ウォーターPPPの本命
| 事業の柱 | 浄水場・下水処理場の機械・電気設備、運転維持管理、PPP/PFI事業 |
| 2027年3月期 会社予想 | 売上高2,400億円(前期比14.4%増)、営業利益150億円(同16.5%増) |
| 配当予想 | 年80円(前期比10円増配) |
| 2027年の注目点 | ウォーターPPP要件化による包括委託案件の受注拡大 |
メタウォーターは、日本ガイシと富士電機の水環境事業を統合して誕生した上下水道設備のトップ企業で、売上の8割以上を官公庁向けが占めます。設備の設計・建設だけでなく、完成後の運転管理まで担えるため、ウォーターPPPのように維持管理と更新をまとめて委託する方式との相性が非常に良い企業です。
業績は好調で、旧中期経営計画の目標を2期前倒しで達成しました。2027年3月期も2桁の増収増益と増配を計画しています。株価指標は2026年7月下旬時点で予想PER13倍台、配当利回り2.5%前後と、成長性に比べて落ち着いた水準です。
ポイント:官公庁の工事は年度末に完成が集中するため、第1四半期は赤字になりやすい季節性があります。四半期決算の数字だけで判断せず、通期予想に対する受注高の積み上がりを確認することが大切です。
7. 積水化学工業(4204)|道路を掘らずに下水道管を直すSPR工法
| 事業の柱 | 住宅(セキスイハイム)、環境・ライフライン、高機能プラスチックス |
| テーマとの接点 | 管路更生工法「SPR工法」、塩ビ管、下水道管路の包括管理 |
| 官民連携の実績 | 堺市、柏市、武蔵野市など複数自治体で下水道管路の包括管理を受託 |
| 2027年の注目点 | 非開削工法の需要拡大と、管路のウォーターPPP案件の獲得 |
下水道管の老朽化対策で最大の課題は、道路を掘り返す工事が交通や住民生活に大きな影響を与えることです。積水化学が共同開発した「SPR工法」は、既存の管の内側に新しい管を形成することで、道路を掘らずに老朽管を耐久性・耐震性の高い管路に生まれ変わらせる技術です。国内外で豊富な施工実績があり、管路更生の草分け的存在として知られています。
同社は工法の提供にとどまらず、自治体から下水道管路の点検・調査、計画策定、改築までをまとめて受託する官民連携にも早くから取り組んできました。ウォーターPPPが国費支援の要件となる2027年度以降、こうした実績を持つ企業は選ばれやすくなります。住宅や自動車向け材料など事業が多角化しているため、インフラ単独の銘柄よりも値動きが安定しやすい点もメリットです。
ポイント:管路更生は全社の中では一部門であり、住宅事業や自動車向け中間膜などの業績変動の影響を大きく受けます。インフラテーマの純度は高くないため、分散投資の一部として位置づけるのが適しています。
8. インフロニア・ホールディングス(5076)|「つくる」から「運営する」へ
| 事業の柱 | 建築、土木、舗装、機械、インフラ運営(前田建設工業・前田道路・三井住友建設・水ingなど) |
| 株価指標(2026年7月28日時点) | 予想PER11.8倍、配当利回り3.69% |
| 株主還元方針 | 2027年度までの配当性向40%以上 |
| 2027年の注目点 | インフラ運営事業の拡大と、上下水道運営子会社・水ingの案件獲得 |
インフロニアは前田建設工業を中核とする建設グループで、2025年には三井住友建設を傘下に加えました。最大の特徴は、建設会社でありながら空港、道路、アリーナ、上下水道などのインフラを「運営」する事業を収益の柱に育てようとしている点です。施設をつくって終わりではなく、運営期間を通じて安定した収益を得るモデルへの転換を進めています。
上下水道の運営を担う水ingをグループに持つことで、設計・施工から運転管理までを一気通貫で提案できる体制が整っています。ウォーターPPPのように長期間の包括委託が主流になるほど、この総合力が生きてきます。予想PERは11倍台と今回の8銘柄の中では割安感があり、配当利回りも3%台後半と高めです。
ポイント:自己資本比率は30%前後と、他の7銘柄に比べて財務レバレッジが高めです。大型買収の統合効果が計画通り出るか、建設資材や人件費の上昇を価格に転嫁できるかを決算ごとに確認しましょう。
2027年に向けたポートフォリオの組み方
今回の8銘柄は、値動きの性格で大きく2つのブロックに分けられます。1つは景気後退局面でも業績が崩れにくい「食のディフェンシブ・ブロック」、もう1つは国の予算と制度変更が追い風となる「国策インフラ・ブロック」です。性格の異なるブロックを組み合わせることで、特定の材料に左右されにくいポートフォリオになります。
| ブロック | 主な銘柄 | 役割 | 配分の目安 |
| 食のディフェンシブ | ニチレイ、日清食品HD | 下落局面の緩衝材、配当の積み上げ | 全体の30% |
| 食の技術成長 | 味の素、不二製油 | 技術を軸にした利益成長 | 全体の20% |
| インフラ・サービス型 | 栗田工業、メタウォーター | 長期契約による安定成長 | 全体の30% |
| インフラ・総合型 | 積水化学、インフロニアHD | 国策テーマへの感応度と配当 | 全体の20% |
配分はあくまで一例です。値上がり益を重視するなら「食の技術成長」と「インフラ・総合型」の比率を高め、配当や安定性を重視するなら「食のディフェンシブ」と「インフラ・サービス型」の比率を高めるといった調整が考えられます。
また、Vol.1で取り上げた金利・AI・国策関連の銘柄と組み合わせる場合、今回の8銘柄は相場全体が崩れた局面でポートフォリオの下落を和らげる役割を担います。攻めの銘柄と守りの銘柄を意識的に組み合わせることが、2027年まで保有を続けるための土台になります。
2027年までに確認したいカタリストカレンダー
インフラ関連株は、予算や制度のスケジュールが株価の材料になりやすい特徴があります。保有期間中に確認しておきたい主な予定を時系列で整理しました。
| 時期 | イベント | 主に影響する銘柄 |
| 2026年11月 | 各社の中間決算発表(3月期決算企業) | 8銘柄全体 |
| 2026年12月(例年) | 2027年度予算の政府案決定、官民投資ロードマップの予算化 | インフラ4銘柄、フードテック関連 |
| 2027年4月 | 汚水管改築の国費支援でウォーターPPP要件化がスタート | メタウォーター、積水化学、インフロニアHD |
| 2027年5月 | 2027年3月期の本決算と新年度の業績予想 | 8銘柄全体 |
| 2027年度中 | 自治体のウォーターPPP事業者選定・契約が本格化 | インフラ4銘柄 |
| 2030年度まで | 大口径・高リスク下水道管の更新完了目標 | インフラ4銘柄 |
予算案の段階で期待が先行して株価が上昇し、実際の受注が決算に表れるまでに時間差が生じることもあります。イベント前後の短期的な値動きに振り回されず、受注高や受注残高が着実に積み上がっているかを確認する姿勢が大切です。
投資前に確認しておきたい3つのリスク
どれほど追い風の強いテーマでも、リスクがないわけではありません。今回の8銘柄に共通して意識しておきたいリスクを3つ整理します。
原材料・人件費の上昇リスク
食品メーカーは穀物、油脂、カカオなどの原料価格、インフラ関連企業は建設資材や人件費の影響を受けます。コスト上昇を販売価格に転嫁できるかどうかが利益を左右するため、値上げの浸透状況は決算ごとに確認しておきたいポイントです。
予算・制度の変更リスク
概算要求はあくまで各省庁の要求額であり、年末の政府案で減額される可能性があります。また、自治体の財政状況によってはウォーターPPPの導入が遅れる地域も出てくるでしょう。国策テーマは長期的な方向性が明確な一方、個々の予算額やスケジュールは変動し得ることを理解しておく必要があります。
バリュエーションのリスク
インフラ老朽化や水ビジネスは注目度の高いテーマであり、期待が先行して株価が割高になる局面もあります。PERや配当利回りを同業他社や過去の水準と比べ、一度にまとめて買うのではなく、時期を分けて買い付けることで高値づかみのリスクを抑えられます。
購入前チェックリスト
□ 直近の決算で、会社予想に対する進捗率や受注高は順調か
□ 原材料・人件費の上昇を価格転嫁できているか
□ PERや配当利回りは同業他社や過去の水準と比べて妥当か
□ ポートフォリオ全体で、特定のテーマに偏りすぎていないか
よくある質問(FAQ)
Q1. フードテック関連株とはどのような銘柄ですか?
フードテック関連株とは、食品の生産、加工、保存、流通に先端技術を活用して収益を上げている企業の株式です。代替肉や培養肉の新興企業だけでなく、アミノ酸の発酵技術を持つ味の素、植物性油脂の不二製油、冷凍技術と低温物流を持つニチレイなど、技術を利益に変えている大手食品企業も含まれます。長期保有を前提にするなら、すでに黒字で稼いでいる企業から選ぶのが現実的です。
Q2. 2027年に社会インフラ関連株が注目される理由は何ですか?
主な理由は2つあります。1つは、国土交通省が2027年度の概算要求で上下水道管の更新などの老朽化対策に前年度比34%増の1兆1,591億円を計上したことです。もう1つは、2027年度から汚水管の改築で国費支援を受ける条件として、自治体にウォーターPPPの導入決定が求められることです。予算の増額と制度変更が同じ年に重なるため、民間企業の受注機会が拡大しやすくなります。
Q3. ウォーターPPPとは何ですか?
ウォーターPPPとは、自治体が上下水道施設の維持管理と更新工事を、原則10年程度の長期契約で一体的に民間企業へ委ねる官民連携の方式です。自治体にとっては職員不足や財源不足への対応策となり、民間企業にとっては長期にわたる安定した収益源になります。国は2031年度までに下水道分野で100件のウォーターPPPを具体化する目標を掲げています。
Q4. 新NISAで保有するのに向いている銘柄はどれですか?
長期保有と配当を重視する新NISAの成長投資枠では、配当利回りが3%台のニチレイやインフロニアHD、増配を続けるメタウォーターなどが候補になります。ただし、NISA口座では損失が出ても他の口座の利益と相殺できないため、1銘柄に集中せず、複数の銘柄に分散して時期を分けて買い付けることをおすすめします。
Q5. 8銘柄すべてを買う必要はありますか?
すべてを買う必要はありません。投資資金が限られている場合は、食品ブロックとインフラブロックから1〜2銘柄ずつ選ぶだけでも、テーマの分散効果は得られます。たとえば「ニチレイ+メタウォーター」のように、ディフェンシブ銘柄と国策銘柄を1つずつ組み合わせる方法が始めやすいでしょう。
Q6. 食品株は値上がりしにくいのではありませんか?
食品株は一般的に株価の変動が小さく、短期間で大きく値上がりする銘柄は多くありません。一方で、景気後退局面でも業績が崩れにくく、配当を安定的に受け取れるという強みがあります。今回選んだ企業は、半導体材料や植物性油脂、海外事業など独自の成長エンジンを持っているため、一般的な食品株よりも利益成長の余地があると考えられます。
まとめ|2027年は「予算が約束された需要」を持つ銘柄を
2027年に向けて、フードテックと社会インフラは「地味だが確実性の高いテーマ」として存在感を増しています。上下水道の老朽化対策には2027年度の概算要求で1兆円を超える予算が要求され、ウォーターPPPの要件化によって民間企業の出番が制度的に広がります。食の分野では、フードテックが成長戦略の重点分野となり、技術を持つ企業に追い風が吹いています。
今回紹介した8銘柄は、アミノ酸技術の味の素、完全栄養食の日清食品HD、冷凍と低温物流のニチレイ、植物性油脂の不二製油、水処理の栗田工業、上下水道設備のメタウォーター、管路更生の積水化学工業、インフラ運営のインフロニアHDです。いずれも、すでに利益を生んでいる事業がテーマと直結している点が共通しています。
Vol.1で紹介した攻めの銘柄と組み合わせ、相場が荒れる局面でも保有を続けられる理由を買う前に言語化しておくこと。それが2027年以降も資産を育てるための最も確実な方法になります。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。





















