【2027年】必ず保有したい米国株10銘柄|AI・電力・ディフェンシブの3層で組む長期ポートフォリオ

【2027年】必ず保有したい米国株10銘柄|AI・電力・ディフェンシブの3層で組む長期ポートフォリオ

2027年に必ず保有したい米国株を、セクター分散を前提に10銘柄まとめました。結論から述べると、2027年の米国株を考えるうえで決定的に重要なのは、FRBが利下げではなく利上げの局面に入ったという事実です。2026年9月15・16日のFOMCで政策金利は0.25%引き上げられ、3.75〜4.00%となりました。3年2か月ぶりの利上げで、決定は全会一致でした。

金利が上がり続ける局面では、将来の利益を現在価値に割り引く際の分母が大きくなるため、収益化が先の企業ほど評価が下がります。逆に、すでに契約と売上を持ち、価格決定力のある企業が選ばれます。本記事の10銘柄は、この基準で選定しました。AI関連を中核に据えつつ、AI相場が調整しても機能する銘柄を意図的に組み合わせています。

この記事で分かること
1:FRBは利上げ局面に転じ、ドットチャートの中央値は2026年末・2027年末ともに4.125%を示している。金利が下がる前提のポートフォリオは組み替えが必要。
2:2027年のメモリ供給は逼迫が続く見通しで、AIのボトルネックは演算チップから電力とメモリへ移っている。
3:10銘柄は「AI計算」「AI収益化」「電力インフラ」「AI非依存」の4ブロック構成。AI関連に7銘柄を配しているため、配分の調整が前提になる。

目次

2027年に必ず保有したい米国株10銘柄【一覧】

まず全体像から示します。以下の10銘柄は、ブロックごとに異なる役割を担わせることを前提に選んでいます。

ティッカー銘柄名ブロック2027年に効く主なテーマ
NVDAエヌビディアAI計算学習から推論へ広がる計算需要
AVGOブロードコムAI計算カスタムAIチップとネットワーク
MUマイクロン・テクノロジーAI計算2027年を超えて続くメモリ供給制約
MSFTマイクロソフトAI収益化クラウドと業務ソフトでのAI課金
GOOGLアルファベットAI収益化自社開発チップと検索のAI移行
GEVGEベルノバ電力インフラ受注残2,000億ドルを2027年初頭に
VRTバーティブ電力インフラ空冷から液冷への移行需要
LLYイーライリリーAI非依存肥満症治療薬と適応拡大
BRK.Bバークシャー・ハサウェイAI非依存高金利が追い風になる巨額の現金
COSTコストコ・ホールセールAI非依存インフレ下で客数が増える会員制

この構成で最も重要なのは、10銘柄のうち7銘柄がAI関連である点を自覚しておくことです。これは分散ではありません。AI投資が続く前提に賭けたポートフォリオであり、だからこそ残る3銘柄に、AIとは無関係の論理で動く企業を置いています。後半の配分設計の項目で、この偏りをどう調整するかを具体的に説明します。

なぜ2027年の米国株は「金利が下がらない前提」で組むのか

銘柄選びに入る前に、前提となる環境を確認します。2027年の米国株を考えるうえで押さえるべき変化は3つあります。

① FRBが3年2か月ぶりに利上げへ転じた

2026年9月15・16日のFOMCで、FRBは政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。3年2か月ぶりの利上げであり、決定は全会一致です。ウォーシュ議長は、インフレが目標を上回り続けていること、経済が強まっていること、金融環境がもはや引き締め的ではないこと、そして商品価格の上昇が波及するのを防ぐ必要があることを理由として挙げました。原油価格の上昇が最後の後押しになったとみられています。

重要なのは、これが一度きりの調整ではない可能性です。ドットチャートの中央値は2026年末に4.125%を示しており、年内にもう1回の利上げが想定されています。2027年末も4.125%、2028年末3.875%、2029年末3.625%、長期的な水準は3.250%とされ、少なくとも2027年いっぱいは現在の水準から下がらない見通しです。野村證券は12月の追加利上げを見込んでおり、合計0.50%の引き上げを予想しています。

押さえておきたい数字
政策金利(FF金利誘導目標):3.75〜4.00%(2026年9月FOMCで0.25%引き上げ、全会一致)
ドットチャート中央値:2026年末4.125%/2027年末4.125%/2028年末3.875%/長期3.250%
インフレ率:2%目標を5年以上にわたって上回り続けている状態
米10年債利回り:市場が合計1.00%の利上げを織り込む場合、5%台半ばまで上昇する可能性

長期金利が5%台に乗る環境は、株式の評価にとって重い制約です。安全資産である国債が5%の利回りを提供するなかで、より高いリスクを取って株式を保有する以上、企業にはそれを上回る利益成長が求められます。「期待」だけで買われてきた銘柄が最も厳しい状況に置かれるのは、このためです。

② 利益成長そのものは続いている

一方で、企業の稼ぐ力は衰えていません。S&P500は2026年6月2日に取引時間中の最高値7,620ポイント台をつけ、その後7,500近辺で推移しています。2026年4〜6月期の決算では、発表前に23.2%増と見込まれていた利益成長率が、7月末時点で29%増へ引き上げられ、約86%の企業が市場予想を上回りました。

予想PERの推移を見ると構図が分かります。2025年の25.6倍から、2026年21.0倍、2027年18.4倍、2028年16.3倍へと低下していく見通しです。これは株価が下がるという意味ではなく、利益が伸びることで同じ株価でも割安になっていくという意味です。2027年の1株当たり利益は403.8ドルと予想されており、株価上昇の原動力が評価の拡大ではなく利益の成長に移っていることを示しています。

もう一つ注目したいのが、上昇が大型株だけのものではなくなっている点です。2026年7月末までの騰落率を見ると、S&P500が約9.4%であるのに対し、構成銘柄を均等加重した指数は約12.1%、中小型株のラッセル2000は約18.1%と、むしろ時価総額の小さい銘柄のほうが上昇しています。一部の巨大企業に支えられた相場から、裾野の広がった相場へ移りつつあります。

③ 2027年に固有の節目が集中している

3つ目が、2027年という年に固有の事情です。いずれもすでに公表されている計画や契約に基づくものです。

  • メモリ供給:マイクロンのCEOは、需給の逼迫が暦年2027年を過ぎても続くと述べています。同社は最大のAI顧客の需要に対し、半分から3分の2しか供給できていないとされます。
  •  発電設備:GEベルノバの受注残高は1,760億ドルに達し、CEOは2,000億ドルの目標を2027年初頭に達成する見通しを示しています。
  • ガスタービン:同社の年間出力計画は2026年第3四半期の20ギガワットから、2028年に24ギガワット、2030年に30ギガワットへ引き上げられます。
  • 中間選挙:2026年11月3日に米中間選挙が行われます。1950年以降の19回では、選挙から6か月後のS&P500はすべて上昇し、平均上昇率は14.1%でした。選挙のない年の同時期の平均である約4.1%を上回ります。

中間選挙のアノマリーについては、直近5回でも6か月後の平均が8.6%で5回とも上昇、12か月後も平均8.2%で5回とも上昇しています。ただし2018年は6か月後に6.4%の上昇でありながら、途中で選挙日の終値から一時14.7%下落しました。最終的に上がったとしても、その過程が平坦とは限らない点は意識しておくべきです。

2027年に必ず保有したい米国株10銘柄【個別解説】

ここからは1社ずつ見ていきます。各社について、保有を検討する根拠と、あらかじめ想定しておくべきリスクを併記しました。

※株価はYahoo!ファイナンスに遷移します

1. エヌビディア(NVDA)|学習から推論へ、需要の質が変わる

▎注目テーマ:AI計算基盤とCUDAエコシステム

AI向けGPUで圧倒的な地位を持つエヌビディアは、2027年も米国株ポートフォリオの中心に置かれる銘柄です。2027年に向けて注目すべきは、需要の中身が「学習」から「推論」へ移りつつある点です。モデルを訓練する需要は一部の大手に集中しますが、訓練済みモデルを実際に動かす推論は、使う企業と回数が増えるほど膨らみ続けます。AIが実験段階から業務に組み込まれる段階へ進むほど、計算需要は裾野の広いものに変わっていきます。

もう一つの強みはソフトウェアです。CUDAを中心とする開発環境が長年かけて蓄積され、研究者や開発者の標準になっています。競合が性能で並んでも、既存の開発資産を捨ててまで乗り換える判断は簡単ではありません。半導体メーカーでありながら、実質的にはソフトウェアの参入障壁で守られている点が、この会社の特異なところです。

保有を検討する根拠
需要が学習から推論へ広がり、顧客層と利用回数の裾野が拡大する局面にある。CUDAエコシステムが乗り換えコストとして機能し、価格決定力を支えている。データセンター向け以外に、車載やロボティクスなど物理世界への展開余地がある。

想定しておきたいリスク
エヌビディアの出荷は、広帯域メモリ(HBM)の供給が制約要因になっていると指摘されています。自社の生産能力ではなく他社の部材供給がボトルネックになる構造は、計画どおりの成長を妨げる要因になり得ます。加えて顧客が少数の大手クラウド事業者に集中しており、各社が自社開発チップへ移行する動きは、中長期的なシェアの圧迫要因です。

2. ブロードコム(AVGO)|「脱エヌビディア」の受け皿

▎注目テーマ:カスタムAIチップとネットワーク

大手クラウド事業者はいずれも、エヌビディアへの依存度を下げるため自社専用のAIチップを開発しています。その設計と製造を実際に担っているのがブロードコムです。顧客が「エヌビディア以外の選択肢」を求めるほど同社に仕事が回るため、AI相場の主役が交代してもポジションを失いにくい構造になっています。エヌビディアと同時に保有することで、どちらに転んでも取りこぼしが出にくくなる組み合わせです。

さらにネットワーク半導体でも高いシェアを持ちます。AIデータセンターは数千から数万の演算チップを一つの計算資源としてつなぐため、チップ間を結ぶスイッチの性能がシステム全体の速度を左右します。計算チップが速くなるほどネットワークの重要性も増すという関係にあり、AI投資のどの部分が伸びても恩恵を受けやすい位置にいます。インフラソフトウェア事業という、半導体市況に左右されにくい収益源を併せ持つ点も特徴です。

保有を検討する根拠
クラウド各社の自社チップ開発という、エヌビディア依存を下げる動きの受け皿になる。ネットワーク半導体で高シェアを持ち、AIクラスターの大規模化が追い風になる。インフラソフトウェア事業が、半導体市況の波を部分的に平準化する。

想定しておきたいリスク
カスタムチップ事業は顧客数が限られ、特定顧客の開発計画の変更が業績に直結します。大型買収を繰り返して成長してきた経緯から有利子負債が大きく、政策金利が4%前後で高止まりする環境では利払い負担が重くなります。買収による成長が鈍れば、成長率そのものが切り下がる可能性もあります。

3. マイクロン・テクノロジー(MU)|2027年の供給はすでに埋まっている

▎注目テーマ:広帯域メモリと記憶装置の供給制約

AIの計算では、演算チップと同じくらいメモリが重要になります。大量のデータを高速に出し入れできなければ、どれだけ演算能力があっても性能を発揮できないためです。この広帯域メモリ(HBM)で、マイクロンは数少ない供給者の一つです。

2027年という時間軸で特筆すべきは、需給の逼迫が暦年2027年を過ぎても続くと同社CEOが述べている点です。同社は最大のAI顧客の需要に対して、半分から3分の2しか供給できていないとされます。顧客との間では16件の戦略的顧客契約を結び、多くが5年間のテイク・オア・ペイ契約で、DRAMの約2割、NANDの約3分の1をカバーします。最低価格ベースの累計売上は約1,000億ドル、顧客からの現金預託金と信用状は約220億ドルにのぼります。従来の市況産業とは異なり、収益の予見可能性が大幅に高まっているのが現在の姿です。

保有を検討する根拠
需給の逼迫が2027年を超えて続くとCEOが明言し、供給側の価格決定力が強い。5年間のテイク・オア・ペイ契約により、従来の市況産業より収益の予見性が高い。顧客からの前払いと信用状が積み上がり、設備投資の資金負担が軽い。

想定しておきたいリスク
10銘柄のなかで最も注意が必要です。株価は1年で約502%上昇し、時価総額は1兆ドルを超えました。非GAAPベースの粗利益率は84.9%と、歴史的に市況産業であるメモリでは異例の水準です。同社CEO自身、2028年にいつ供給が需要に追いつくかは見通しが立っていないと認めています。競合各社が増産を進め、中国メーカーの新工場も立ち上がるため、供給が追いついた瞬間に市況が反転する構図は変わっていません。過去のサイクルでも、ピーク時には好況が永続するように見えたという点は意識しておくべきです。

4. マイクロソフト(MSFT)|AIを「売上」に変換できているか

▎注目テーマ:クラウドとAIの収益化

AI投資の局面が進むにつれ、市場の関心は「いくら投資したか」から「いくら回収できているか」へ移ります。マイクロソフトは、クラウドのAzureを通じた計算資源の販売と、業務ソフトに組み込まれたAI機能の課金という2つの経路で収益化を進めてきました。すでに世界中の企業がWindowsとOfficeを使っているため、新規顧客を開拓せずとも既存顧客への単価引き上げで売上を伸ばせる点が、他社にない強みです。

2027年に向けては、AIが実験から業務システムへ組み込まれる段階が本格化します。企業向けソフトウェアは一度導入されると入れ替えが難しく、契約が積み上がるほど収益は安定します。金利が高止まりする環境では、将来の夢ではなく現在の契約残高で評価される企業が有利になるため、この性質は追い風に働きます。

保有を検討する根拠
既存顧客への単価引き上げという、新規開拓に依存しない成長経路を持つ。企業向けソフトは乗り換えが難しく、契約の積み上げが収益の安定につながる。潤沢なキャッシュフローにより、高金利下でも投資と株主還元を両立できる。

想定しておきたいリスク
データセンターへの巨額投資が先行するため、減価償却費の増加が利益率を押し下げます。投資に見合う収益が得られないと市場が判断すれば、投資額の大きさがそのまま失望材料に転じます。またクラウド市場では競合が激しく、企業の情報システム予算が絞られる局面では成長率が鈍化します。

5. アルファベット(GOOGL)|チップから検索まで自前で持つ

▎注目テーマ:自社開発チップとAI検索への移行

アルファベットの特徴は、AIの研究開発、専用チップの設計、データセンター、そしてサービスまでを一貫して自社で持っている点です。多くの企業がAIチップを外部から調達するなかで、自社開発チップを使って自社のAIを動かせる体制は、コスト面でも供給確保の面でも優位に働きます。AI半導体の調達が各社の制約になっている局面では、この垂直統合の価値が相対的に高まります。

一方で、主力の検索事業がAIによって置き換えられるのではないかという懸念も長く指摘されてきました。ただし検索そのものがAI的な応答に変わっても、広告の出稿先として世界最大の入り口であることは変わりません。むしろ利用者の質問が具体的になるほど、広告の精度は上がる可能性があります。この「AIに食われる側」という見方と「AIで強くなる側」という見方のどちらを取るかが、評価を分けるポイントです。

保有を検討する根拠
AI研究、自社チップ、データセンター、サービスまでを垂直統合している。外部からのAI半導体調達が制約になる局面で、自社チップが供給面の優位になる。クラウドと動画配信という、検索以外の収益の柱を複数持つ。

想定しておきたいリスク
検索広告への依存度は依然として高く、AIを使った新しい情報収集手段が普及すれば、広告の表示機会そのものが減る可能性があります。加えて独占禁止法をめぐる各国の規制対応は継続的な不確実性であり、事業分割などの判断が下されれば構造が変わります。

6. GEベルノバ(GEV)|受注残2,000億ドルという「確定した未来」

▎注目テーマ:発電設備と電力需要の構造的増加

AIデータセンターの最大の制約は、半導体ではなく電力です。GEベルノバはガスタービンによる発電設備と送電・電化の設備を手がけ、この制約を解く側に立っています。注目すべきは受注残高で、2021年の分離独立時の60億ドルから現在は1,760億ドルまで積み上がりました。CEOは2026年9月の会議で、2,000億ドルの目標を2027年初頭に達成する見通しを示しています。

需要の確実性を示す数字は他にもあります。2026年上半期の新規契約は40ギガワットに達し、2026年末までにガス機器の契約は少なくとも125ギガワットになる見込みです。顧客は2032年までの納入枠に対してすでに現金を前払いしており、2030年から2031年の枠の価格も強いとされます。ガスタービンの年間出力は2026年第3四半期の20ギガワットから、2028年に24ギガワット、2030年に30ギガワットへ引き上げる計画です。数年先までの売上が、契約として書面になっている状態です。

さらに見逃せないのが保守サービスです。大型ガスタービンは1ギガワットあたり、運転開始後20年でおよそ5億ドルのサービス収益が見込まれるとされ、電力サービス事業の収益は2025年の120億ドルから2035年に220億ドルへ増える予測が示されています。設備を売った後に長期の収益が続く構造です。

保有を検討する根拠
受注残高1,760億ドル、2027年初頭に2,000億ドル到達見込みと、将来の売上が契約化している。顧客が2032年までの納入枠に現金を前払いしており、需要の確度が高い。設備販売後に20年規模の保守収益が続き、収益構造が長期化している。

想定しておきたいリスク
株価はすでに大きく上昇しており、期待が相当織り込まれています。受注から売上計上までの期間が長い業態のため、資材価格や人件費が想定を超えて上昇すれば採算が悪化します。また金利上昇は発電設備投資の資金調達コストを押し上げるため、政策金利が高止まりする環境では顧客側の計画が後ろ倒しになる可能性もあります。

7. バーティブ・ホールディングス(VRT)|「冷やす」と「電気を入れる」の専業

▎注目テーマ:データセンターの冷却と電源設備

AIデータセンターは、従来型の施設とは発熱量の桁が違います。演算チップの消費電力が上がるほど、それを冷やす設備と、安定した電力を供給する設備の重要性が増します。バーティブは、この冷却システムと無停電電源装置を専門に手がける企業です。データセンターという単一市場に集中している分、AI投資の拡大が業績に直結する純度の高さが特徴です。

技術的な転換点にあることも追い風です。発熱量の増加により、従来の空冷では処理が追いつかず、液体で直接冷やす方式への移行が進んでいます。方式が変わるタイミングは、既存設備の置き換え需要が一斉に発生するため、専業メーカーにとっては需要が加速する局面になります。また、施設は24時間365日止められないため、保守サービスの継続収益も積み上がります。

保有を検討する根拠
データセンター専業であり、AI投資の拡大が業績にそのまま反映される。空冷から液冷への移行期にあたり、設備の置き換え需要が一斉に発生する。止められない施設を支えるため、保守サービスの継続収益が積み上がる。

想定しておきたいリスク
事業がデータセンターに集中しているため、AI投資が一巡すれば他に支えとなる収益源がありません。純度の高さは上昇局面での強みであると同時に、下落局面での弱点でもあります。また冷却と電源は競合も多く、技術の主導権が変われば立場が入れ替わる余地があります。株価の変動は10銘柄のなかでも大きい部類です。

8. イーライリリー(LLY)|AI相場と無関係に伸びる収益

▎注目テーマ:肥満症・糖尿病治療薬と高齢化

ポートフォリオにAI関連だけを並べると、AI相場が調整したときに全体が同時に下落します。その対策として組み入れたいのがイーライリリーです。同社は肥満症と2型糖尿病の治療薬で世界的な地位を築いており、この市場の成長はAI投資の動向とはまったく別の論理で進みます。

肥満は世界的に患者数が増え続けている一方、有効な治療選択肢は長く限られてきました。治療薬が普及すれば、関連する心血管疾患や睡眠時無呼吸などへの波及も見込まれ、適応の拡大が売上の上積みにつながります。さらに製薬業は、物価が上昇する局面でも価格転嫁がしやすく、景気後退局面でも需要が落ちにくいという性質を持ちます。金利が高止まりする環境において、この安定性は組み入れの理由になります。

保有を検討する根拠
AI投資の動向とは無関係に、人口動態と医療需要に支えられた成長が見込める。適応拡大により、同じ薬から売上を積み増せる余地がある。景気後退局面でも需要が落ちにくく、下落相場でのクッションになる。

想定しておきたいリスク
製薬業は臨床試験の結果ひとつで株価が大きく動きます。競合他社の新薬開発が進めば価格競争に陥り、米国では薬価引き下げをめぐる政策議論も継続しています。また期待が先行して評価が高くなっている局面では、売上の伸びが市場予想をわずかに下回っただけでも大きく調整します。

9. バークシャー・ハサウェイ(BRK-B)|金利が高いほど有利になる現金

▎注目テーマ:巨額の手元資金と高金利環境

ほとんどの企業にとって金利上昇は逆風ですが、バークシャー・ハサウェイは例外的な立場にあります。同社は巨額の手元資金を保有しており、その多くが短期の米国債で運用されています。政策金利が3.75〜4.00%に引き上げられ、ドットチャートが2027年末も4.125%の水準を示す環境では、この資金が何もしなくても相応の利息を生みます。

もう一つの役割が、下落局面での買い手になれることです。株式市場が急落したとき、多くの投資家は現金が足りず買い向かえませんが、同社は資金を持っているため、割安になった資産を取得できます。結果として、相場が崩れるほど将来のリターンの種を仕込めるという構造になります。保険、鉄道、エネルギー、消費財と事業も分散しており、AI相場の変動から距離を置いた収益基盤を持ちます。

保有を検討する根拠
巨額の手元資金が、高金利環境では安定した利息収入を生む。下落局面で買い手に回れるため、相場急落が将来のリターン機会になる。保険・鉄道・エネルギー・消費財と事業が分散し、AI相場から独立している。

想定しておきたいリスク
規模が非常に大きいため、市場平均を大きく上回る成長は構造的に難しくなっています。また創業以来の経営体制が世代交代の局面にあり、投資判断の質が維持されるかどうかは今後の検証事項です。金利が大きく低下する局面では、手元資金の運用益という強みが薄れます。

10. コストコ・ホールセール(COST)|物価高で客が増える小売

▎注目テーマ:会員制モデルとインフレ耐性

インフレが続く環境で、家計は支出を切り詰めます。ただし消費そのものが消えるわけではなく、より安い選択肢へ移動します。コストコは、まとめ買いによる低価格を武器にしており、物価が上がるほど客数が増えるという逆説的な構造を持ちます。米国のインフレ率が2%目標を5年以上にわたって上回り続けている現状は、同社にとって追い風として働きます。

収益構造も特徴的です。商品の販売そのものの利益率は低く抑え、年会費を主要な利益源とするモデルを採っています。会員は年に一度の更新で継続を判断するため、満足度が維持される限り収益は安定します。商品価格を上げずに済むぶん競争力が保たれ、客数が増えて会員が増え、会費収入が伸びるという循環が働きます。

保有を検討する根拠
物価高で節約志向が強まるほど、客数が増えやすい構造を持つ。年会費という継続収益が利益の柱で、商品値上げに依存しない。AI相場とも金利サイクルとも異なる論理で動き、分散効果が高い。

想定しておきたいリスク
安定性が広く認知されているため、株価の評価水準は小売業としては高めに維持されてきました。期待に見合う既存店売上の伸びが続かなければ、評価の調整が起こります。また人件費の上昇は小売業の利益を直接圧迫し、低価格を守るほど利益率は削られます。

10銘柄をどう組み合わせるか|4ブロックの配分設計

10銘柄すべてを同じ金額で買う必要はありません。ブロックごとに値動きの性格が大きく異なるため、どこに厚みを持たせるかで、ポートフォリオ全体の振れ幅が決まります。

ブロックごとの役割と値動きの性格

ブロック銘柄値動きの性格役割
AI計算NVDA/AVGO/MU非常に大きい上昇局面の牽引役。配分は意識的に抑える
AI収益化MSFT/GOOGL中AIの恩恵を受けつつ、既存事業が下支えする
電力インフラGEV/VRT大きい受注残に裏付けられた需要。AIの土台側
AI非依存LLY/BRK.B/COST小〜中下落局面の緩衝材。AI相場と別の論理で動く

実務的には、「AI計算」ブロックを全体の3割程度までに抑え、「AI非依存」ブロックに3割前後を配分する構成が扱いやすいでしょう。半導体とメモリは上昇局面での伸びが大きい反面、調整局面では短期間で3割以上下げることが珍しくありません。この3銘柄に資金の半分を置くと、相場が崩れたときに保有を続けることが心理的に難しくなります。

特にマイクロンについては、株価が1年で約502%上昇した後であることを踏まえ、配分を小さくするか、下落を待って段階的に買い増す方針が現実的です。ストーリーの確かさと、現在の株価がそのストーリーをどこまで織り込んでいるかは、別の問題として扱う必要があります。

円建てで投資する場合の為替の扱い

日本から米国株に投資する場合、リターンは現地通貨での株価変動と為替変動の掛け算になります。日本銀行は2026年9月に政策金利を1.25%へ引き上げており、日米の金利差は縮小する方向にあります。金利差が縮めばドル安・円高に振れやすく、現地通貨で株価が上がっても円換算では目減りする局面があり得ます。

対策としては、為替ヘッジの有無を意識するより、買い付けの時期を分散させるほうが実務的です。毎月あるいは四半期ごとに一定額を買い付ければ、為替も株価も平均化されます。また、円高局面はドル建て資産を安く買える局面でもあるため、長期の積み立てにおいては必ずしも不利とは限りません。

日本株との組み合わせ方

日本株と米国株は、同じAIというテーマに投資する場合でも立ち位置が異なります。米国株はAIを「設計し、動かし、収益化する」側の企業が中心であるのに対し、日本株はAIを「支える部材と設備」を供給する側に強みがあります。両者を組み合わせることで、AIの価値が上流と下流のどちらに溜まっても取りこぼしが出にくくなります。

また、通貨の分散という観点も重要です。日本株は円建て、米国株はドル建てであるため、為替がどちらに動いても片方が補う関係になります。資産全体で見たとき、この通貨分散は株式の銘柄分散と同じくらい効果を持ちます。

2027年に向けたカタリストカレンダー

本記事で取り上げた材料を時系列に並べました。株価は事前に期待で動き、実現時に材料出尽くしとなることが多いため、「いつ何が起きるか」を把握しておくと、値動きの理由を解釈しやすくなります。

時期出来事関連するブロック
2026年11月3日米中間選挙全ブロック
2026年12月FOMCでの追加利上げ観測(野村予想)全ブロック(金利感応)
2026年末GEベルノバのガス機器契約が125GWに到達見込み電力インフラ
2027年初頭GEベルノバの受注残高が2,000億ドルに到達見込み電力インフラ
2027年通年メモリの需給逼迫が継続(マイクロンCEO発言)AI計算
2027年通年S&P500の予想PERが18.4倍へ低下(利益成長による)全ブロック
2027年末FRBドットチャート中央値4.125%(金利据え置き想定)全ブロック
2028年ガスタービン年間出力24GWへ引き上げ計画電力インフラ

使い方として重要なのは、予定どおり進んだかどうかを確認することです。GEベルノバの受注残高が2027年初頭に2,000億ドルへ届くかどうかは、電力インフラ関連の期待が正しかったかを判定する最初の材料になります。同様に、メモリの需給が2027年の途中で緩み始めれば、AI計算ブロックの前提が崩れる兆候と考えられます。

2027年に向けて想定しておきたい3つのリスク

強気の見通しを持つときこそ、逆のシナリオを具体的に描いておく必要があります。2027年の米国株に固有のリスクを3つ挙げます。

リスク① 金利が想定以上に上がる

FRBのドットチャートは2027年末の政策金利を4.125%としていますが、インフレが収まらなければ、この水準を超える利上げもあり得ます。市場が合計1.00%の利上げを織り込む場合、米10年債利回りは5%台半ばまで上昇する可能性が指摘されています。長期金利の上昇は株式の評価水準を直接押し下げるため、企業の利益が伸びていても株価が上がらない局面が生じます。特に、設備投資のために資金を借りる必要がある電力インフラ関連と、有利子負債の大きい企業への影響が大きくなります。

リスク② AI関連への集中

本記事の10銘柄のうち7銘柄がAI関連です。これは意図的な構成ですが、同時に最大のリスクでもあります。AI投資が一巡したとの見方が広がれば、エヌビディア、ブロードコム、マイクロン、マイクロソフト、アルファベット、GEベルノバ、バーティブが同時に下落する展開はあり得ます。残る3銘柄で全体を支えるのは困難です。

対策は配分でしか取れません。AI関連の合計比率を自分で決め、その上限を超えたらリバランスするという運用が必要です。「全部AI関連だが銘柄数が多いから分散できている」という考え方は誤りです。銘柄数ではなく、収益ドライバーの数が分散の本質です。

リスク③ メモリ市況の反転

マイクロンについては個別に注意が必要です。株価は1年で約502%上昇し、非GAAPベースの粗利益率は84.9%に達しています。メモリは歴史的に市況産業であり、この水準の利益率が長期的に続いた前例はありません。サムスンとSKハイニックスが増産を進め、中国メーカーの新工場も立ち上がるなかで、供給が需要に追いついた瞬間に市況は反転します。同社CEO自身、2028年にいつ供給が追いつくかは見通しが立っていないと認めています。

テイク・オア・ペイ契約によって従来のサイクルより下値が堅いのは確かですが、契約が切れた後の価格まで保証されているわけではありません。「今回は違う」という判断が最も危険になる局面であることは、意識しておくべきです。

リスク管理の実務的な考え方
AI関連の合計比率に上限を設け、超えた場合は年に1〜2回リバランスする。1銘柄あたりの投資額は、ポートフォリオ全体の一定割合を超えないよう決めておく。為替リスクを避けるのではなく、買い付け時期を分散することで平均化する。生活資金や近い将来に使う予定のある資金は、株式に振り向けない。

よくある質問(FAQ)

Q. 2027年の米国株は上がりますか?

A.証券会社の見通しでは、S&P500の2026年末目標が8,000ポイントへ引き上げられ、2027年の1株当たり利益は403.8ドルと予想されています。予想PERは2026年21.0倍から2027年18.4倍へ低下する見通しで、利益成長が株価を押し上げる構図が想定されています。ただしこれらは企業業績が計画どおり進むことを前提とした試算であり、インフレや金利の動向によって前提は容易に変わります。

Q. 金利が上がると米国株は下がるのではありませんか?

A.一律に下がるわけではなく、銘柄によって影響が分かれます。金利上昇で最も不利になるのは、利益がまだ出ておらず将来の成長期待で買われている企業です。逆に、すでに大きな利益とキャッシュフローを生んでいる企業や、巨額の手元資金を持つ企業は影響が限定的か、むしろ有利になります。本記事の10銘柄を「すでに稼いでいる企業」で揃えているのは、この理由によります。

Q. 10銘柄すべてを買う必要はありますか?

A.必要ありません。4つのブロックから1銘柄ずつ、計4銘柄を選ぶだけでも分散の効果は得られます。たとえば「NVDA+MSFT+GEV+COST」のように、値動きの大きいものと穏やかなものを組み合わせる形が始めやすいでしょう。同じブロックから複数買っても、分散にはなりません。

Q. 新NISAで米国株を買えますか?

A.成長投資枠で個別の米国株を購入できます。ただし配当にかかる米国での源泉徴収税(10%)はNISA口座でも免除されず、外国税額控除も使えない点に注意が必要です。したがってNISAでの米国株投資は、配当よりも値上がり益を狙う銘柄のほうが相性に優れます。また損失が出ても他の口座の利益と相殺できないため、値動きの大きい銘柄を集中させるのは避けたほうが無難です。

Q. 為替が円高になったら損をしますか?

A. 円換算のリターンは目減りします。日本銀行が2026年9月に政策金利を1.25%へ引き上げたことで日米の金利差は縮小方向にあり、円高に振れやすい地合いです。一方で、円高局面はドル建て資産を安く買える局面でもあります。一度に全額を投じるのではなく、買い付け時期を分散することで、為替の影響は平均化できます。

Q. 日本株と米国株はどちらを優先すべきですか?

A. 優先順位をつけるより、役割を分けて考えるほうが実務的です。米国株はAIを設計し収益化する側の企業が中心で、日本株はそれを支える部材や設備を供給する側に強みがあります。また通貨が分かれているため、為替がどちらに動いても片方が補う関係になります。資産全体で見れば、両方を持つことが最も素直な分散です。

まとめ|2027年は「すでに稼いでいる企業」を選ぶ

2027年の米国株を考えるうえで最大の変化は、FRBが利上げ局面に転じたことです。政策金利は3.75〜4.00%となり、ドットチャートの中央値は2026年末・2027年末ともに4.125%を示しています。金利が下がる前提で組まれたポートフォリオは、組み替えが必要な局面にあります。

その一方で、企業の利益成長は続いています。S&P500の予想PERは2026年21.0倍から2027年18.4倍、2028年16.3倍へと低下する見通しで、これは株価の下落ではなく利益の増加によるものです。評価の拡大ではなく利益の成長が株価を支える局面では、すでにキャッシュを生んでいる企業が選ばれます。

本記事で取り上げた10銘柄は、エヌビディア、ブロードコム、マイクロン、マイクロソフト、アルファベット、GEベルノバ、バーティブ、イーライリリー、バークシャー・ハサウェイ、コストコ・ホールセールです。このうち7銘柄がAI関連であり、これは分散ではなく、AI投資が続く前提に賭けた構成です。その自覚を持ったうえで配分を決め、AI非依存の3銘柄で下支えをつくること。そして相場が荒れる日に売らずに済む理由を、買う前に言語化しておくこと。2027年まで保有を続けるうえで、最も重要な準備です。

免責事項:記載の見通しや数値は2026年10月8日時点で公表されている情報に基づくもので、将来の投資成果を示唆・保証するものではありません。本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。

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