メガバンク同様に金利のある世界ではネット銀行もポートフォリオに入れたい銘柄です。結論から言えば、2026年のネット銀行関連株は「純粋なネット銀行銘柄」と「出資元企業経由の関連銘柄」の二層構造で捉えるのが有効です。楽天銀行やセブン銀行のような単体上場のネット銀行に加え、KDDIやLINEヤフーのようにネット銀行を子会社・関連会社として持つ企業も、金利上昇とデジタルシフトの恩恵を受ける投資対象として注目されています。
本記事では、2026年7月時点の情報をもとに、ネット銀行関連の日本株8銘柄を厳選し、株価指標や注目ポイント、投資リスクまで解説します。
ネット銀行を取り巻く2026年の環境
日本銀行は2026年に入り段階的な利上げを進めており、預貸金利ざや(利ざや)の拡大を通じて銀行セクター全体の収益環境が改善しています。中でも実店舗網を持たず低コストで大量の預金を集められるネット銀行は、この恩恵を受けやすい構造にあります。
POINT: 金利上昇局面では、貸出金利の上昇スピードが預金金利の上昇スピードを上回りやすく、利ざやが拡大します。低コスト構造のネット銀行ほど、この効果が業績に表れやすい傾向があります。
あわせて2026年は、業界再編の動きも活発化しています。中でも大きな話題となっているのが、業界最大手であった住信SBIネット銀行の動向です。
メモ: 住信SBIネット銀行(7163)は、NTTドコモによるTOB(株式公開買付け)を受けて2025年9月25日に東証スタンダード市場の上場を廃止しました。2026年8月3日には商号を「ドコモSMTBネット銀行」に変更予定であり、現時点では直接の株式投資対象ではなくなっている点に注意が必要です。
このように上場ネット銀行の勢力図が変化する中、本記事では2026年7月時点で株式市場から投資可能な銘柄に絞って紹介します。
銘柄選びの視点
ネット銀行関連株を選ぶ際は、大きく分けて次の2つのタイプを意識すると整理しやすくなります。
- 純粋ネット銀行型:楽天銀行やセブン銀行など、ネット銀行事業そのものが業績の中心を占める銘柄。値動きがネット銀行事業の動向に直結しやすい特徴があります。
- 関連会社経由型:KDDIやLINEヤフーなど、大手企業がネット銀行を子会社・持分法適用会社として保有するケース。事業分散によりリスクが平準化される一方、値動きへの寄与度は限定的です。
ネット銀行関連 日本株8銘柄比較一覧
2026年7月時点の株価指標をもとにした比較は以下の通りです。株価・指標は日々変動するため、投資判断の際は証券会社の最新データもあわせてご確認ください。
| 銘柄 | コード | 市場 | 株価目安 | PER | PBR | 配当利回り | ポジション |
| 楽天銀行 | 5838 | プライム | 5,480円 | 11.8倍 | 2.58倍 | 0.00% | 純粋ネット銀行 |
| セブン銀行 | 8410 | プライム | 304円 | 20.9倍 | 1.27倍 | 3.62% | ATM型ネット銀行 |
| あおぞら銀行 | 8304 | プライム | ― | 15.0倍 | 0.85倍 | 3.1% | GMOあおぞら経由 |
| スルガ銀行 | 8358 | プライム | 2,261円 | 12.7倍 | 1.26倍 | 2.5% | デジタル地銀 |
| イオンFS | 8570 | プライム | ― | 21.7倍 | 0.68倍 | ― | イオン銀行経由 |
| ふくおかFG | 8354 | プライム | ― | ― | 1.1倍 | 3.3% | みんなの銀行経由 |
| KDDI | 9433 | プライム | 2,678円 | ― | 2.0倍 | 3.1% | auじぶん銀行経由 |
| LYコーポレーション | 4689 | プライム | 447円 | 18.8倍 | 0.97倍 | 1.74% | PayPay銀行経由 |
ネット銀行関連 おすすめ銘柄8選
※株価はYahoo!ファイナンスに遷移します
① 楽天銀行(5838)|銀行業
【市場】東証プライム 【セクター】銀行業 【キーワード】ネット銀行、楽天経済圏、利ざや拡大
実店舗を持たず、インターネットを通じて銀行サービスを提供する日本最大級のインターネット専業銀行です。楽天市場・楽天カード・楽天証券など楽天経済圏との連携により、口座数・預金量の拡大が続いています。
2026年3月期は経常収益2,555億円(前期比38.4%増)、経常利益1,030億円(同44.1%増)と大幅な増収増益を達成し、2027年3月期も二桁成長を予想しています。ROEは21%を超え、資本効率の高さが際立ちます。
POINT: 金利上昇局面では貸出金利の上昇が利ざや拡大につながり、店舗を持たない低コスト構造のネット銀行は特にその恩恵を受けやすい事業構造です。
注意: 親会社である楽天グループの財務状況が連想売りにつながるリスクがあります。また、ネット銀行間の預金獲得競争激化によるコスト上昇の可能性もあります。
② セブン銀行(8410)|銀行業
【市場】東証プライム 【セクター】銀行業 【キーワード】ATMネットワーク、非資金収益、配当利回り
全国28,000台以上のATMネットワークを基盤に、個人・法人向けの金融サービスを展開するネット銀行です。セブン-イレブンに加え、ファミリーマートへのATM設置拡大など提携網の広がりが続いています。
予想配当利回りは3%台後半と銀行業の中でも高水準です。ATM手数料収入に加えて、Connect事業など非資金収益の多角化を進めています。
POINT: ATM利用収益に加え、キャッシュレス決済関連や国際送金など非資金収益の拡大余地があります。高配当利回り銘柄としての安定感も魅力です。
注意: 2026年3月期の経常利益は前期比で減益予想となっており、キャッシュレス化の進展によるATM需要縮小リスクにも注意が必要です。
③ あおぞら銀行(8304)|銀行業
【市場】東証プライム 【セクター】銀行業 【キーワード】GMOあおぞらネット銀行、増配、収益多様化
連結子会社にデジタル専業の「GMOあおぞらネット銀行」を持つ銀行グループです。同行は口座数・預金残高の拡大を背景に通期での利益貢献に転じ、グループ収益の多様化に寄与しています。
2026年3月期は連結粗利益985億円(前期比15.1%増)、純利益257億円(同25.3%増)と増収増益となり、配当は91円から100円への増配を予定しています。
POINT: GMOあおぞらネット銀行の成長軌道に乗ることで、伝統的な銀行業務と次世代デジタル銀行の両方に投資エクスポージャーを持てる点が特徴です。
注意: 海外不動産融資などレガシー資産の処理状況によっては、業績変動要因となる可能性があります。
④ スルガ銀行(8358)|銀行業
【市場】東証プライム 【セクター】銀行業 【キーワード】デジタル地銀、業績回復、株主還元
地方銀行でありながら、個人向けローンなどでデジタルチャネルを積極活用してきた先進的なオンラインサービスを展開する銀行です。
2026年3月期は経常収益1,099億円(前期比20.6%増)、純利益347億円(同72.1%増)と大幅増収増益となり、増配および自己株式取得を実施するなど株主還元を強化しています。
POINT: 業績回復と株主還元強化が同時に進行しており、バリュエーション面でも見直しが期待される局面です。
注意: 過去の不正融資問題を教訓としたガバナンス体制の持続性が、引き続き市場からの注目点となっています。
⑤ イオンフィナンシャルサービス(8570)|その他金融業
【市場】東証プライム 【セクター】その他金融業 【キーワード】イオン銀行、海外リテール金融、増収増益
イオン銀行を含む、イオングループの総合金融事業を担う持株会社です。国内のクレジットカード・銀行事業に加え、海外(マレーシア等)のリテール金融事業を展開しています。
2027年2月期第1四半期は営業収益1,538億円(前年同期比112.7%)、純利益89億円(同205.8%)と海外事業の伸長により大幅増収増益となりました。
POINT: 海外リテール金融事業の高成長が国内イオン銀行事業を補完し、グループ全体の収益拡大をけん引しています。
注意: 海外与信の貸倒れリスクや為替変動の影響を受けやすい事業構造である点には留意が必要です。
⑥ ふくおかフィナンシャルグループ(8354)|銀行業
【市場】東証プライム 【セクター】銀行業 【キーワード】みんなの銀行、BaaS、システム外販
福岡銀行・熊本銀行などを傘下に持つ九州地盤の地銀グループで、デジタル専業銀行「みんなの銀行」を運営しています。
2026年3月期は経常収益6,211億円(前期比36.3%増)、純利益854億円(同18.4%増)と大幅増収増益となり、みんなの銀行の勘定系システムを他社に外販する収益も非資金収益を下支えしています。
POINT: 銀行機能を外部提供するBaaS(Banking as a Service)型ビジネスが新たな収益源として育っている点が特徴です。
注意: みんなの銀行単体での収益化にはなお時間がかかる見込みで、先行投資負担が続く可能性があります。
⑦ KDDI(9433)|情報・通信業
【市場】東証プライム 【セクター】情報・通信業 【キーワード】auじぶん銀行、通信×金融、顧客基盤活用
三菱UFJ銀行と共同出資する「auじぶん銀行」を通じて金融事業を展開する通信大手です。スマートフォン決済や資産運用サービスとの連携を強化しています。
2026年3月期は売上高6兆719億円(前期比4.1%増)、純利益7,071億円(同7.9%増)の増収増益となり、通信事業の安定収益を背景に金融事業への投資余力があります。
POINT: 通信契約者基盤を生かした預金・ローン獲得が進んでおり、au経済圏全体でのクロスセルが金融事業の成長を後押ししています。
注意: ネット銀行事業自体は会社全体の収益に占める割合が限定的で、通信事業の解約動向や販売施策変更の影響を受けやすい点には留意が必要です。
⑧ LINEヤフー(4689)|情報・通信業
【市場】東証プライム 【セクター】情報・通信業 【キーワード】PayPay銀行、決済連携、海外ネット銀行
「PayPay銀行」(旧ジャパンネット銀行)を100%子会社に持つ、ソフトバンク系の総合ネットサービス企業です。PayPay・LINE・Yahoo!など複数のサービスを傘下に抱えます。
2026年3月期は売上収益2兆363億円(前期比6.2%増)となり、PayPayの連結成長や台湾のLINE Bank Taiwanの連結子会社化により、戦略事業の売上収益は前年同期比30.6%増と高成長を示しました。
POINT: PayPay経済圏を軸にした決済・金融事業の拡大に加え、台湾など海外でのネット銀行展開も進んでいる点が中長期的な成長ドライバーです。
注意: 広告・EC等のコア事業における競争激化や、成長投資の先行による利益率の重石には注意が必要です。
銘柄選びのポイントとリスク
ネット銀行関連株への投資を検討する際は、以下の視点を持つことが重要です。
- 金利感応度:預貸金利ざやの拡大メリットをどの程度受けやすい事業構造かを確認しましょう。純粋ネット銀行ほど感応度が高い傾向にあります。
- 収益の多角化:ATM収益、システム外販(BaaS)、決済連携など、金利以外の収益源を持つ銘柄は下値抵抗力が強くなる傾向があります。
いずれの銘柄も、預金獲得競争の激化や親会社の業績変動、規制動向など固有のリスク要因を抱えています。投資判断は自己責任のもと、最新の決算情報を確認した上で行ってください。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年、ネット銀行株に投資妙味があるのはなぜですか?
A. 日銀の利上げ局面では預貸金利ざやが拡大しやすく、店舗網を持たない低コスト構造のネット銀行は、その恩恵を相対的に受けやすい事業モデルだからです。
Q. 住信SBIネット銀行(7163)にはもう投資できないのですか?
A. 同社は2025年9月にNTTドコモによるTOB(株式公開買付け)を受けて東証スタンダード市場の上場を廃止しており、2026年8月3日には「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更予定です。そのため、2026年7月時点で直接の株式投資はできません。
Q. 純粋なネット銀行と、出資元企業経由の関連銘柄はどちらを選ぶべきですか?
A. ネット銀行事業への値動きの連動を重視するなら楽天銀行やセブン銀行などの単体上場銘柄、事業分散によるリスク低減を重視するならKDDIやLYコーポレーションなど親会社経由での投資が向いています。
Q. ネット銀行関連株に投資する際のリスクは何ですか?
A. 預金獲得競争の激化によるコスト増、貸倒れリスク、親会社の業績・信用力への連動、システム投資負担の増加などが主なリスクとして挙げられます。
まとめ
2026年のネット銀行関連株は、金利上昇による利ざや拡大メリットと、デジタルシフトによる顧客基盤拡大という2つの追い風を受けています。楽天銀行やセブン銀行といった純粋ネット銀行に加え、KDDIやLINEヤフーのような関連会社経由の銘柄も選択肢に入れることで、リスク分散を図りながらこのテーマへの投資が可能です。住信SBIネット銀行の上場廃止のように業界再編も進んでいるため、最新の企業情報を確認しながらポートフォリオに組み込んでいきましょう。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。株価指標は2026年7月時点の目安であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において、最新の企業情報をご確認の上で行ってください。





















