【2027年】海洋資源・レアアース開発の国策おすすめ銘柄10選|南鳥島の本格採鉱試験で注目の日本株

【2027年】海洋資源・レアアース開発の国策おすすめ銘柄10選|南鳥島の本格採鉱試験で注目の日本株

2027年の日本株で、国策テーマとして最も大きな節目を迎えるのが「海洋資源・レアアース開発」です。小笠原諸島・南鳥島沖の水深約6,000メートルの海底に眠るレアアース泥について、政府は2027年に1日350トン規模の本格的な採鉱試験を行う計画を進めています。2026年2月には探査船「ちきゅう」による世界初の揚泥に成功しており、研究段階から産業化を見据えた検証段階へと移りつつあります。

背景にあるのは、中国によるレアアースの輸出規制です。中国は2025年から段階的に輸出管理を強め、2026年1月には日本向けの軍民両用品目の輸出を禁止する措置を打ち出しました。レアアースはEVのモーターや風力発電機、ロボット、防衛装備品に欠かせない素材であり、その調達を特定の国に依存し続けることは経済安全保障上の大きなリスクです。

本記事では、「採る」「運ぶ・支える」「精製して使う」というサプライチェーンの流れに沿って、2027年に注目したい国策おすすめ銘柄を10社厳選しました。それぞれの役割、業績の状況、保有前に確認したい注意点まで整理しています。

この記事の結論
結論1:2027年は南鳥島沖で日量350トン規模の本格採鉱試験が予定され、2028年3月までに経済性を含む総合評価が行われる。株価材料が集中する「決定的な1年」になる。
結論2:レアアース泥の採掘そのものはまだ売上に結びついていない。本業で稼いでいる企業を軸に、テーマ性は「上乗せ」として評価するのが現実的な選び方。
結論3:採掘・海洋開発の銘柄は値動きが激しく、精製・調達の銘柄は実需に支えられる。性格の異なる2つのグループを組み合わせることで、テーマの恩恵を受けつつ値動きの偏りを抑えられる。

目次

2027年の海洋資源・レアアース国策おすすめ銘柄10選|一覧

まずは今回取り上げる10銘柄を一覧で確認しておきましょう。サプライチェーン上の役割ごとに3つのグループに分けています。

コード銘柄名役割レアアース・海洋資源との接点
6330東洋エンジニアリング採る水深6,000mからの揚泥システムの技術開発
6269三井海洋開発採る大水深の浮体式設備で世界大手、開発推進コンソーシアム参画
5715古河機械金属採る泥を移送するスラリーポンプ技術、深海採鉱の特許
1885東亜建設工業採る海底の泥をほぐす「解泥」技術、SIPに参画
1662石油資源開発運ぶ・支える海洋掘削の知見、海洋調査の新会社を設立
7746岡本硝子運ぶ・支える深海観測装置の耐圧ガラス球
4063信越化学工業精製して使うレアアースの分離精製から磁石まで一貫生産
2768双日精製して使う豪ライナス経由で中重希土類を日本に供給
5471大同特殊鋼精製して使う重希土類を使わないネオジム磁石
4082第一稀元素化学工業精製して使うレアアース化合物とレアアースを使わない新素材

※業績・株価に関する数値は、2026年9月下旬までに公表された決算資料や報道をもとにしています。最新の数値は各社の開示資料でご確認ください。

なぜ2027年に海洋資源・レアアース関連株なのか|4つの理由

レアアース関連株は、これまでも中国の輸出規制が報じられるたびに一時的に買われてきました。しかし2027年は、その繰り返しとは性格が異なります。政府のスケジュールが具体化し、実証試験の結果という「事実」で評価される段階に入るためです。

理由1:中国の輸出規制が「一時的な脅し」ではなくなった

中国は世界のレアアース生産の約6〜7割、精錬に至っては約9割を握るといわれます。2025年4月には一部のレアアースで輸出管理を厳格化し、同年10月には規制対象をさらに広げる方針を示しました(その一部は米中首脳会談を受けて1年延期)。そして2026年1月6日、日本の軍事関連用途などに向けた軍民両用品目の輸出を禁止する措置を公布し、即日施行しています。

日本は2024年時点でレアアースの約63%を中国から調達していました。依存度を下げることは、産業界だけでなく国の安全保障に直結する課題となり、レアアース確保は政権の最重要テーマの一つに位置づけられています。

理由2:2026年2月に世界初の揚泥に成功

内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」のもと、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の探査船「ちきゅう」は、2026年1月から2月にかけて南鳥島沖で採鉱システムの接続試験を実施しました。長さ約10メートルのパイプを数百本つなぎ、水深約6,000メートルの海底からレアアースを含む泥を船上へ引き上げることに世界で初めて成功しています。

回収した泥を分析した結果、レアアース全体の半分強がジスプロシウムなどの付加価値の高い中重レアアースで、有害物質や放射性物質は目立った数値が出なかったと報じられています。陸上の鉱山と比べて環境負荷の小さい資源であることは、長期的な開発を進めるうえで大きな利点です。

理由3:首相指示で「産業規模の実証」へ格上げ

2026年6月の総合海洋政策本部の会合で、高市早苗首相は南鳥島沖のレアアース開発について、産業規模での実証に向けた準備を加速するよう関係閣僚に指示しました。2027年の実証では、泥の採取だけでなく、運搬、脱水、精錬までの一連の工程を検証する計画です。試験に先立ち、南鳥島には泥から海水を抜く脱水処理施設も建設されます。

予算面では、2025年度補正予算でSIPに164億円が計上されました。首相が直接指示を出す案件であることは、単なる研究プロジェクトではなく、政権が優先する国策であることを示しています。

理由4:2027年度予算で民間との新プロジェクトが始動

投資家として見逃せないのが、2026年8月末に公表された2027年度予算の概算要求です。内閣府は、民間企業とともに開発を進める国主導の新たな実証プロジェクトを2027年度から立ち上げる方針で、金額を示さない「事項要求」として盛り込みました。

政府内では、事業化には1日1,000トン以上の泥を引き上げる必要があるとの声があり、「ちきゅう」の能力は1日500トン程度が上限とされます。そのため新たな船の導入も検討される見込みです。研究機関が主役だった段階から、民間企業が設備や運営を担う段階へと移ることは、関連企業の受注機会が広がる可能性を意味します。

選定基準
1. 南鳥島プロジェクトへの参画実績、またはレアアース供給網での具体的な事業がある
2. レアアース以外の本業で利益を上げており、テーマが空振りしても事業が成り立つ
3. 東証に上場し、個人投資家が売買しやすい流動性がある
4. サプライチェーン上の役割が重ならないよう、採掘から素材まで分散させる

【採る】海洋開発・採掘技術の国策銘柄4選

最初のグループは、水深6,000メートルの海底から泥を引き上げる技術を担う企業です。南鳥島プロジェクトとの距離が最も近く、ニュースに対する株価の反応も最も大きいグループです。

※株価はYahoo!ファイナンスに遷移します

1. 東洋エンジニアリング(6330)|揚泥システムの中核を担う本命銘柄

事業の柱石油化学・肥料・エネルギープラントの設計・調達・建設(EPC)
テーマとの接点JAMSTECの委託で、水深6,000mからレアアース泥を回収するシステムの技術開発に参画
2027年3月期 会社予想売上高1,900億円、経常利益75億円、当期純利益60億円
配当予想年25円(前期の無配から復配予定)

東洋エンジニアリングは、三井系のプラント大手です。南鳥島プロジェクトでは、深海からレアアース泥を船上へ回収するシステムの技術開発を担っており、市場では「レアアース関連の本命」として最も注目を集めてきました。

本業の業績も立て直しが進んでいます。前期はブラジルの発電案件の採算悪化などで149億円の最終赤字となり無配に転落しましたが、2026年8月に発表した第1四半期決算では経常利益が前年同期比2.8倍の33億円台と大きく伸び、通期計画に対する進捗率は45%に達しました。重要鉱物は、同社が中期的な成長分野に掲げる5つの領域の一つにも入っています。

ポイント:2026年1月には株価が約1か月で4倍以上に急騰した後、7月には高値から約8割下落しました。テーマへの期待だけで株価が大きく振れる典型的な銘柄です。自己資本比率も2割弱と低めのため、一度にまとめて買わず、決算で本業の回復を確認しながら少しずつ買い付けるのが無難です。

2. 三井海洋開発(6269)|大水深の浮体技術で世界トップクラス

事業の柱浮体式の海洋石油・ガス生産設備(FPSO)の設計・建造・リース・運転
テーマとの接点東京大学などが主導するレアアース泥開発推進コンソーシアムに参画
2026年12月期 中間実績売上収益約3,974億円(前年同期比18%増)、営業利益約475億円(同70%増)
受注残高約170億ドル(2026年6月末時点)

三井海洋開発は、洋上で石油やガスを生産・貯蔵する巨大な浮体設備「FPSO」で世界大手の一角を占めます。レアアース泥の揚泥には海洋石油開発の技術が応用されており、超大水深での浮体設備や係留、長期の洋上運転のノウハウを持つ同社は、産業化の段階で役割が期待される企業です。

最大の魅力は、レアアースとは関係なく本業が絶好調である点です。約170億ドルという巨額の受注残を抱え、2026年12月期の中間期は大幅な増収増益となりました。ドル建てで稼ぐ企業のため、円安局面では円換算の業績がさらに膨らみます。レアアースのテーマが空振りしても業績で下支えされる、安定感のある銘柄です。

ポイント:業績は原油価格と石油会社の投資計画に左右されます。現時点でレアアース事業は収益に寄与していないため、テーマ株ではなく「海洋エネルギーの成長株にテーマ性の付いた銘柄」として評価するのが適切です。

3. 古河機械金属(5715)|泥を運ぶポンプと深海採鉱の特許

事業の柱削岩機・建設機械、ポンプなどの産業機械、金属・電子材料
テーマとの接点子会社のスラリーポンプ技術、深海採鉱関連の特許は国内トップクラス
コンソーシアムレアアース泥開発推進コンソーシアムに参画
2027年の注目点採鉱試験での移送システムの性能と、深海採鉱の商用化議論

古河機械金属は、足尾銅山を源流とする古河グループの機械・金属メーカーです。子会社の古河産機システムズは、固形物が混ざった液体を運ぶスラリーポンプを得意としており、南鳥島沖で粘り気の強いレアアース泥を船上へ送る仕組みにも、同社のポンプ技術が生かされていると伝えられています。

地上の鉱山で培った採鉱技術を海底に応用する研究にも早くから取り組み、深海の鉱物資源を回収する機材を試作しています。関連特許は共同出願を含めて約20件と国内企業でトップクラスです。米国でも深海採鉱への関心が高まっており、南鳥島以外の海洋資源開発にも広がりが期待できる点は同社ならではの強みです。

ポイント:売上の中心は建設機械や産業機械で、レアアース関連の売上はまだ限定的です。建設需要や海外の鉱山投資の動向が業績の主な変動要因になります。

4. 東亜建設工業(1885)|海底の泥を「ほぐす」マリコン大手

事業の柱港湾・空港・埋め立てなどの海洋土木(マリコン)、陸上土木、建築
テーマとの接点レアアース泥を回収する「解泥」技術を開発し、JAMSTECの委託で大型実証を実施
研究実績2018年に大学などと共同で、南鳥島周辺のレアアース資源分布の可視化と選鉱手法を発表
2027年の注目点南鳥島の港湾・荷役・島内施設などの海洋インフラ整備

東亜建設工業は、港湾や空港の建設を得意とする海洋土木の大手です。南鳥島プロジェクトでは、海底に堆積した粘土状の泥を海水と混ぜてほぐす「解泥」技術を担当し、2020年には実機の3分の1スケールでの大型実証試験を自社ヤードで行いました。SIPにも参画しており、プロジェクトへの関与は10年近くに及びます。

2027年以降に期待されるのが、採掘を支える海洋インフラの需要です。南鳥島は本土から約1,900キロ離れた離島であり、泥の陸揚げや脱水処理、運搬には港湾や荷役施設の整備が欠かせません。大型の作業船を自社で保有し、離島での工事実績も豊富な同社にとっては、受注機会が広がる可能性があります。

ポイント:南鳥島の港湾整備などを正式に受注したという公表は現時点では確認されていません。期待が先行しやすい点を理解し、受注の発表や決算での進捗を確認しながら判断しましょう。

【運ぶ・支える】海洋調査・周辺技術の国策銘柄2選

2つ目のグループは、海洋の掘削・調査や深海観測を支える企業です。南鳥島プロジェクトを「縁の下」で支え、海洋資源開発全体の広がりから恩恵を受けやすい企業を選びました。

5. 石油資源開発(1662)|海洋掘削のノウハウと海洋調査の新会社

事業の柱国内外の石油・天然ガスの探鉱・開発・生産、電力、CCS
テーマとの接点2023年に岡本硝子などと共同で、海洋資源調査技術の実用化を担う新会社「次世代海洋調査」を設立
強み国内有数の掘削・海洋開発の知見、国の資源政策との深いつながり
2027年の注目点海洋資源調査の事業化と、民間主導の実証プロジェクトへの関与

石油資源開発(JAPEX)は、国の資源政策とともに歩んできた石油・天然ガス開発の専業会社です。海底下の資源を探し、掘り、生産する技術は、レアアース泥の採掘とも共通する部分が多く、海洋資源開発における「日本代表」の一社といえます。

2023年には岡本硝子などと共同で、海洋資源調査の技術を実用化する新会社を設立しました。レアアース泥に限らず、マンガン団塊やコバルトリッチクラストなど、日本の排他的経済水域には多様な鉱物資源が眠っています。海洋資源の調査需要が高まれば、同社の役割はさらに大きくなるでしょう。

ポイント:利益の大部分は原油・天然ガス価格に連動します。レアアース関連は将来の成長オプションであり、足元の業績を左右するのは資源価格と為替である点を押さえておきましょう。

6. 岡本硝子(7746)|深海の観測を支える耐圧ガラス球

事業の柱プロジェクター用反射鏡などの光学事業、特殊ガラス・薄膜製品
テーマとの接点南鳥島沖の試験で活躍した深海観測装置「江戸っ子1号」に耐圧ガラス球を供給
市場区分東証スタンダード(小型株)
2027年の注目点採鉱試験での環境モニタリングと、海洋調査事業の広がり

岡本硝子は特殊ガラスの専門メーカーです。2026年の南鳥島沖の試験では、採鉱中の海洋環境を海底で観測する無人装置「江戸っ子1号」が使われましたが、深海の水圧から機器を守る耐圧容器に同社のガラス球が採用されています。

深海採鉱では、周辺の生態系や海洋環境への影響を監視することが国際的にも強く求められます。採鉱の規模が大きくなるほど環境モニタリングの重要性は増し、観測機器の需要も高まります。「採る」技術ではなく「見守る」技術で関わる点が、同社のユニークな立ち位置です。

ポイント:時価総額が小さく、テーマ性のニュースで株価が大きく上下しやすい銘柄です。ポートフォリオの中心ではなく、少額で保有する「テーマの選択肢」として位置づけることをおすすめします。

【精製して使う】分離精製・磁石・調達の国策銘柄4選

3つ目のグループは、レアアースを素材に変え、製品として使う企業です。中国の本当の強みは採掘よりも分離・精製にあるといわれます。この工程や、中国に頼らない調達・材料技術を持つ企業こそが、脱中国依存の実需を取り込む存在です。

7. 信越化学工業(4063)|分離精製から磁石まで一貫生産

事業の柱塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハー、シリコーン、機能材料(レアアース磁石など)
テーマとの接点レアアースの分離・精製から高性能磁石の製造まで一貫して手がける国内有数の企業
コンソーシアムレアアース泥開発推進コンソーシアムに参画
技術磁石に使う重希土類の使用量を大きく減らす独自の製造技術

信越化学工業は、日本を代表する総合化学メーカーです。レアアースの分野では、原料を分離・精製し、EVや産業用モーターに使う高性能磁石を製造するまでを一社で手がけています。南鳥島の泥からレアアースを取り出せても、それを精製し製品にする企業がなければ産業にはなりません。同社はその出口を担える数少ない国内企業です。

磁石に耐熱性を持たせるために必要な重希土類の使用量を抑える技術を持ち、リサイクルにも取り組んでいます。半導体ウエハーで世界トップの地位を持ち、財務も極めて健全なため、レアアースのテーマ株の中では最も安定感のある選択肢といえます。

ポイント:レアアース磁石は全社の一部門にすぎず、株価は半導体市況や塩ビ樹脂の市況で大きく動きます。レアアースのニュースだけで株価が大きく上がる銘柄ではないため、長期の中核銘柄として保有する姿勢が向いています。

8. 双日(2768)|中国以外からの中重希土類を日本へ

事業の柱自動車、航空、金属・資源、化学、インフラなどを扱う総合商社
テーマとの接点JOGMECとの共同出資会社を通じ、豪州のレアアース大手ライナスに出融資
供給契約2026年3月に長期契約を更新し、ライナスが生産する中重希土類の最大75%を日本向けに確保
2027年の注目点2027年半ばごろに予定される追加3品目の輸入開始と、新規鉱山開発の検討

双日は、南鳥島とは別のルートで、すでに「中国以外のレアアース」を日本に届けている企業です。前身の日商岩井の時代から60年以上レアアースを扱い、2011年からは豪州ライナス社への出融資を重ねてきました。2025年10月には、磁石に欠かせない重希土類のジスプロシウムとテルビウムの輸入を開始しています。

2026年3月には長期供給契約を更新し、日本向けの供給比率を最大75%に引き上げました。取り扱い品目も4品目追加し、サマリウムは2026年4〜6月期から、残りの3品目は2027年半ばごろから輸入が始まる見込みです。さらにライナスと新規鉱山の開発に向けた検討も始めており、2027年は供給量の拡大が目に見える形で進む年になります。

ポイント:総合商社であるため、全社の業績に占めるレアアース事業の割合は大きくありません。資源価格や為替、自動車事業の動向など、商社全体の業績を見て判断することが大切です。

9. 大同特殊鋼(5471)|重希土類を使わないネオジム磁石

事業の柱特殊鋼、高機能素材・磁材、自動車部品、エンジニアリング
テーマとの接点ホンダと共同開発した重希土類を完全に使わないネオジム磁石を量産
採用実績2016年にハイブリッド車用モーターで世界初採用、その後も採用車種を拡大
2027年の注目点重希土類フリー磁石の新工場計画と、海外生産の検討

レアアース問題への答えは「確保する」ことだけではありません。「使わない」あるいは「使う量を減らす」技術も、同じくらい重要な解決策です。大同特殊鋼は、子会社のダイドー電子を通じて、重希土類を一切使わないネオジム磁石を実用化した企業です。

中国の輸出規制で重希土類の調達リスクが高まったことで、この磁石への関心は一段と高まっています。同社は重希土類フリー磁石の生産能力を増やす新工場の検討を進め、米国での生産も視野に入れていると報じられています。脱中国依存の流れが続く限り、需要の拡大が見込める技術です。

ポイント:売上の中心は自動車や産業機械向けの特殊鋼で、自動車生産の動向や鋼材市況の影響を大きく受けます。磁石事業の拡大が全社の業績を押し上げるまでには時間がかかる可能性があります。

10. 第一稀元素化学工業(4082)|ジルコニウムの世界トップとレアアース化合物

事業の柱ジルコニウム化合物(自動車排ガス触媒、燃料電池、電子材料向けなど)
テーマとの接点セリウムやネオジムなどのレアアース化合物を製造、レアアースを使わないセラミックス材料も開発
2026年3月期 実績業績予想を上方修正し、最終利益は前期比3.2倍の25億円見込みに増額
株価指標2026年8月下旬時点で予想PER40倍台(急騰後の水準)

第一稀元素化学工業は、ジルコニウム化合物で世界トップクラスのシェアを持つグローバルニッチ企業です。自動車の排ガス浄化触媒では圧倒的な実績があり、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ランタンといったレアアースの化合物も手がけています。

注目したいのは、レアアースを使わずに同等の機能を持たせるセラミックス材料の開発に成功している点です。確保と代替の両面からレアアース問題に関われる、数少ない素材メーカーといえます。業績も好調で、2026年3月期は最終利益の見通しを大きく引き上げました。

ポイント:中国の規制報道のたびに株価が急騰する傾向があり、2026年8月下旬には1日で20%以上上昇する場面もありました。予想PERは40倍台と割高な水準にあるため、急騰した直後の高値づかみには注意が必要です。

2027年に向けたポートフォリオの組み方

今回の10銘柄は、値動きの性格で大きく3つのタイプに分かれます。レアアースのニュースに敏感に反応する銘柄と、本業の実需に支えられる銘柄を組み合わせることが、テーマ株で長く資産を育てるコツです。

タイプ主な銘柄役割配分の目安
安定コア信越化学、三井海洋開発、双日本業の稼ぐ力で下支え、長期保有の中心全体の50%
テーマ本命東洋エンジ、古河機械金属、東亜建設採鉱試験の結果に最も反応する全体の30%
素材・周辺大同特殊鋼、石油資源開発、第一稀元素、岡本硝子代替技術や海洋調査の広がりを取り込む全体の20%

配分はあくまで一例です。値上がり益を狙うなら「テーマ本命」の比率を高め、値動きを抑えたいなら「安定コア」の比率を高めるといった調整が考えられます。どの配分を選ぶ場合でも、1銘柄に資金を集中させないことが大前提です。

また、レアアース関連株は同じニュースで一斉に上下する傾向があります。10銘柄すべてを持っても、実質的には一つのテーマに集中投資しているのと変わらない点には注意が必要です。ポートフォリオ全体の中で、このテーマに振り向ける金額に上限を決めておくと安心です。

2027年までに確認したいカタリストカレンダー

国策テーマ株は、政府のスケジュールそのものが株価の材料になります。保有期間中に確認しておきたい主な予定を整理しました。

時期イベント主に影響する銘柄
2026年11月各社の中間決算発表(3月期決算企業)10銘柄全体
2026年12月(例年)2027年度予算の政府案決定、民間との新プロジェクトの予算額が判明採る・支えるの6銘柄
2027年1〜2月南鳥島沖で日量350トン規模の本格採鉱試験(約1か月)東洋エンジ、古河機械金属、東亜建設、三井海洋開発
2027年4月〜内閣府と民間企業による新たな実証プロジェクトが始動採る・支えるの6銘柄
2027年半ば双日のライナス経由の追加3品目の輸入開始双日、信越化学、大同特殊鋼
2028年3月まで経済性評価を含むレアアース泥開発の総合評価10銘柄全体

特に重要なのは2027年初めの本格採鉱試験です。試験の実施が近づくと期待から株価が上がり、結果が出た時点で材料出尽くしとして売られることもあります。反対に、試験で日量350トンを安定して達成できれば、2028年の総合評価に向けて評価が一段と高まる可能性があります。イベント前後は値動きが荒くなりやすいため、買い増しのタイミングは分散させましょう。

投資前に確認しておきたい4つのリスク

国策テーマには強い追い風がある一方、個人投資家が見落としやすいリスクもあります。レアアース関連株に共通する4つのリスクを整理します。

採算性のリスク

南鳥島のレアアース泥は、世界でも例のない深さからの採掘です。技術的に掘れることと、商売として成り立つことは別の問題です。政府関係者からも開発コストの大きさを懸念する声が出ており、事業化には日量1,000トン以上の揚泥が必要とも指摘されています。2027年の試験結果次第では、商業化の時期が先送りされる可能性もあります。

テーマ株の過熱と急落のリスク

東洋エンジニアリングの株価が約1か月で4倍以上に上がり、その後8割近く下落したように、レアアース関連株は期待と失望で極端に振れる傾向があります。話題になって急騰した局面で飛びつくのではなく、調整局面で少しずつ買う姿勢が大切です。

外交・政策の変化によるリスク

中国の輸出規制が緩和されたり、日中関係が改善したりすれば、レアアース関連株への関心は一時的に薄れる可能性があります。規制の強化で上がった株は、規制の緩和で下がりやすいことを理解しておきましょう。一方で、脱中国依存という長期の方向性そのものが変わる可能性は低いと考えられます。

環境・国際ルールのリスク

深海採鉱は海洋生態系への影響が国際的に議論されているテーマです。南鳥島の開発は日本の排他的経済水域内で行われますが、環境への影響が懸念される結果が出れば、計画の見直しを求められる可能性があります。採鉱と並行して行われる環境モニタリングの結果にも注目しておきましょう。

購入前チェックリスト
□ レアアース事業を除いても、本業の業績は安定しているか
□ 直近1〜3か月で株価が急騰していないか(高値づかみの回避)
□ PERや自己資本比率は、同業他社と比べて極端な水準ではないか
□ ポートフォリオ全体で、レアアース関連の比率が高くなりすぎていないか
□ 2027年初めの採鉱試験の前後で、買い付けのタイミングを分散できているか

よくある質問(FAQ)

Q1. 南鳥島のレアアース泥とは何ですか?

A.南鳥島のレアアース泥とは、小笠原諸島・南鳥島周辺の日本の排他的経済水域で、水深4,000〜6,000メートルの海底に堆積している、レアアースを高い濃度で含む泥のことです。魚の骨や歯に由来するリン酸カルシウムにレアアースが取り込まれてできたと考えられており、陸上の鉱石と比べて放射性物質や有害物質をほとんど含まないことが特徴です。

Q2. 南鳥島のレアアースはいつ商業化されますか?

A.商業化の時期はまだ確定していません。政府の計画では、2027年初めに日量350トン規模の本格採鉱試験を行い、2028年3月までに経済性を含めた総合評価を実施します。その結果を踏まえて、2028年度以降に産業化へ進むかどうかが判断される見通しです。2030年ごろの商業化を目指すとの報道もありますが、採算性の検証が前提となります。

Q3. レアアース関連株の本命はどの銘柄ですか?

A.南鳥島プロジェクトとの関わりが最も深いのは、揚泥システムの技術開発を担う東洋エンジニアリングです。ただし株価の変動が非常に大きいため、長期保有を前提にするなら、本業が安定している信越化学工業や三井海洋開発、すでに中国以外からの調達実績がある双日を中心に組み合わせるのが現実的です。

Q4. 中国のレアアース輸出規制は日本株にどう影響しますか?

A.中国が輸出規制を強めると、国内での採掘や代替調達への期待から、東洋エンジニアリングや第一稀元素化学工業などのレアアース関連株が買われる傾向があります。一方で、レアアースを大量に使う自動車や電機メーカーにとっては、調達コストの上昇や生産への影響が懸念材料になります。規制が緩和されれば、関連株の人気は一時的に落ち着く可能性があります。

Q5. 新NISAでレアアース関連株を買ってもよいですか?

A.新NISAの成長投資枠で買うこと自体は可能ですが、NISA口座では損失が出ても他の口座の利益と相殺できません。値動きの激しいテーマ株を中心にするのではなく、信越化学工業や双日のように本業が安定し配当も期待できる銘柄を中心に据え、テーマ性の強い銘柄は特定口座で少額にとどめるといった使い分けがおすすめです。

Q6. 海洋資源にはレアアース以外に何がありますか?

A.日本の排他的経済水域には、レアアース泥のほかにも、コバルトやニッケルを含む「コバルトリッチクラスト」や「マンガン団塊」、銅や亜鉛、金などを含む「海底熱水鉱床」、次世代のエネルギー資源として期待される「メタンハイドレート」などが確認されています。海洋資源の開発が進めば、今回紹介した海洋開発・調査系の企業には、レアアース以外の受注機会も広がる可能性があります。

まとめ|2027年は「期待」が「実証」に変わる年

海洋資源・レアアース開発は、2027年に大きな節目を迎えます。中国の輸出規制という外部環境、2026年2月の世界初の揚泥成功、首相による産業規模実証の指示、そして2027年度から始まる民間との新プロジェクト。これらが重なり、南鳥島のレアアースは「夢の資源」から「検証される国策事業」へと変わりつつあります。

今回紹介した10銘柄は、採る技術の東洋エンジニアリング、三井海洋開発、古河機械金属、東亜建設工業、支える技術の石油資源開発と岡本硝子、そして精製・調達・代替技術の信越化学工業、双日、大同特殊鋼、第一稀元素化学工業です。サプライチェーン全体に分散させることで、採鉱試験の結果に一喜一憂しすぎないポートフォリオを組むことができます。

国策テーマで最も大切なのは、「国が本気で進めている方向」と「企業が実際に稼いでいる事業」を分けて考えることです。本業で稼ぐ力を確かめたうえで、テーマ性を上乗せの楽しみとして持つ。その姿勢が、2027年の大きな材料を味方につけるためのポイントです。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。
記載した業績、株価指標、政府の計画や予算に関する情報は2026年9月27日時点で公表・報道されている内容に基づいており、その正確性・完全性を保証するものではありません。計画や市場環境の変化により内容は予告なく変わる可能性があります。

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