「印刷」「文具」と聞くと、ペーパーレス化の逆風を受ける斜陽産業をイメージするかもしれません。しかし実態は大きく異なります。印刷大手は半導体・ディスプレイ・電池材料の供給企業へと変貌し、文具メーカーは海外とプレミアム市場で成長を続けています。
本記事では、2026年下半期に注目したい印刷・文具関連の日本株10銘柄を、最新の業績データとともに解説します。
2026年下半期 印刷・文具セクターの市場環境
このセクターを見るうえで押さえておきたいトレンドは、次の3つです。
① 印刷大手の「半導体・エレクトロニクス」シフト
TOPPANホールディングスと大日本印刷の2強は、半導体フォトマスク、FC-BGA(パッケージ基板)、OLEDメタルマスク、リチウム電池パウチなど、印刷で培った微細加工技術を成長市場に展開しています。AIサーバーや半導体市場の構造的成長が、もはや「印刷株」の主要な株価ドライバーです。
② 文具のグローバル化とプレミアム化
国内文具市場は少子化で縮小傾向にある一方、パイロットや三菱鉛筆は売上の柱を海外に移し、高単価のプレミアム筆記具を伸ばしています。万年筆・インクブームや訪日客の「日本の文具」人気も追い風で、内需株から外需・ブランド株への転換が進んでいます。
③ PBR改革と株主還元の強化
東証の資本効率改善要請を受け、セクター各社は還元を強化中です。TOPPANの総還元性向72%・最大500億円の自社株買い、大日本印刷の増配・自社株買い継続、共同印刷の増配など、低PBR銘柄の多いこのセクターは「還元強化=株価見直し」の余地が大きい領域といえます。
注目10銘柄 一覧比較表
| No. | 銘柄名 | コード | 注目テーマ | ポイント |
| 1 | パイロットコーポレーション | 7846 | 筆記具グローバル展開 | 海外比率高・財務鉄壁 |
| 2 | TOPPANホールディングス | 7911 | 半導体・事業構造転換 | 総還元性向72%・自社株買い |
| 3 | 大日本印刷 | 7912 | OLED・電池材料 | 全セグメント増収増益 |
| 4 | コクヨ | 7984 | 文具・オフィス家具最大手 | Q1増収増益・安定成長 |
| 5 | 三菱鉛筆 | 7976 | プレミアム筆記具 | LAMY買収・今期回復見込み |
| 6 | NISSHA | 7915 | 印刷技術の産業応用 | 今期営業益6割増計画 |
| 7 | 共同印刷 | 7914 | 情報セキュリティ・包材 | 増配80円・割安水準 |
| 8 | キングジム | 7962 | テプラ・文具開発力 | 独自商品開発・優待人気 |
| 9 | セーラー万年筆 | 7992 | 万年筆ブーム | 手書き回帰・インバウンド |
| 10 | ナカバヤシ | 7987 | アルバム・アーカイブ | 低位株・事業多角化 |
各銘柄の詳細解説
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1. パイロットコーポレーション(7846)|筆記具世界大手のグローバル成長株
| 証券コード | 7846(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 4,800円台(2026年6月上旬時点)/時価総額 約1,800億円 |
| 指標 | 予想PER 約12.5倍/PBR 約1.2倍/予想配当利回り 約2.6% |
| 注目テーマ | 海外展開・フリクション・財務健全性(自己資本比率80%超) |
「フリクション」「ドクターグリップ」などで知られる筆記具業界の国内最大手。インク吸引式万年筆でも首位に立ち、売上の過半を海外で稼ぐグローバル企業である点が最大の特徴です。
2026年12月期第1四半期は、海外市場をけん引役に売上高が前年同期比8.3%増の315億円と好調なスタート。営業利益は原価上昇などで10.4%減の41億円となったものの、純利益は44.2%増の26億円と大幅増益を達成しました。通期では増収増益と株主還元の強化が見込まれています。
【注目ポイント】
・海外売上比率が高く、欧米・アジアの筆記具需要拡大の恩恵を直接受けられる
・「フリクション」シリーズという世界的ヒット商品を持つブランド力
・自己資本比率80%超の鉄壁の財務基盤と、予想PER12倍台
・PBR1.2倍前後の割安感・通期増収増益見通しに加え、株主還元強化の方針を明示
【リスク要因】
・為替(円高)と海外景気の減速が業績に直結するほか、原材料コスト上昇による利益率の圧迫が続く可能性があります。
2026年下半期の見方:デジタル化が進む中でも世界の筆記具市場は底堅く、プレミアム筆記具へのシフトが利益率改善の鍵となります。割安なバリュエーションと還元強化が下値を支える、セクターの中核銘柄です。
2. TOPPANホールディングス(7911)|「印刷」から半導体・DXへ構造転換を進める総合大手
| 証券コード | 7911(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 4,600円台(2026年5月下旬時点) |
| 業績 | 2026年3月期:売上高1兆8,050億円(+5.0%)・営業利益671億円(▲21.1%) |
| 今期予想 | 2027年3月期:売上高1兆9,250億円(+6.6%)・営業利益800億円(+19.2%) |
| 株主還元 | 年間配当58円・総還元性向72.0%・最大500億円の自社株買いを決定 |
総合印刷の最大手。祖業の印刷にとどまらず、半導体フォトマスクやFC-BGA(半導体パッケージ基板)、セキュア関連、DX事業へと収益源の転換を進めています。2026年4月からは新中期経営計画「True Value Transformation」を始動し、事業会社の再編とビジネスユニット制の導入で競争力強化を図ります。
2026年3月期は生活・産業系が大きく伸びた一方、エレクトロニクス分野の落ち込みが響き営業減益となりました。ただし2027年3月期は営業利益800億円(+19.2%)と回復を見込み、最大500億円の自社株買いと総還元性向72%という積極還元が株価の支えとなっています。
【注目ポイント】
・半導体フォトマスク・FC-BGAなど、AI・半導体市場の構造的成長を取り込む事業ポートフォリオ
・総還元性向72%・最大500億円の自社株買いという、業界トップ級の株主還元
・新中計による組織再編で、低収益事業の整理と資本効率の改善が進む期待
・今期は営業利益+19.2%の増益回復を計画
【リスク要因】
・エレクトロニクス分野の需要変動が大きく、半導体市況が想定より悪化した場合は今期の増益計画が未達となるリスクがあります。
2026年下半期の見方:減益決算で株価は調整しましたが、増益回復計画と大型自社株買いが発表済みで、悪材料はかなり織り込まれた水準。中計の進捗が確認されれば見直し余地の大きい銘柄です。
3. 大日本印刷(7912)|OLED・電池材料で稼ぐ「印刷テック」企業
| 証券コード | 7912(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 2,500円台(2026年5月時点) |
| 業績 | 2026年3月期:増収増益・全3セグメントで成長を達成 |
| 今期予想 | 2027年3月期:売上高1兆5,300億円(+1.2%)・営業利益1,080億円(+6.9%) |
| 株主還元 | 年間配当41円へ増配予定・自己株式取得を継続する方針 |
TOPPANと並ぶ総合印刷の双璧。スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスの3部門すべてで増収増益を達成し、2026年3月期は好決算となりました。第3四半期累計では営業利益763億円(前年同期比+21.8%)、特にライフ&ヘルスケア部門の営業利益が約7割増と業績をけん引しています。
有機EL(OLED)ディスプレイ製造に不可欠なメタルマスクや、リチウムイオン電池用バッテリーパウチで世界トップシェアを握るなど、「印刷技術の応用」で高収益のエレクトロニクス・材料事業を確立している点が強みです。今期も全セグメント増収増益を計画し、増配と自社株買いの継続を打ち出しています。
【注目ポイント】
・OLEDメタルマスク・電池パウチなど世界シェアトップ級のニッチ製品群
・2026年3月期は全セグメント増収増益、今期営業利益も+6.9%と着実な成長計画
・増配(年41円へ)と自己株式取得を継続する明確な還元方針
・iPhoneのOLED化・EV電池需要など、長期テーマへの直接的なエクスポージャー
【リスク要因】
・純利益は特別利益の反動で今期8.6%減を見込むほか、スマートフォンやEVの需要変動がエレクトロニクス部門の業績を左右します。
2026年下半期の見方:業績モメンタムはセクター内で最も良好。出版印刷のイメージとは裏腹に、中身はエレクトロニクス材料企業へと変貌しており、構造転換の「優等生」として下半期も注目度が高い銘柄です。
4. コクヨ(7984)|文具×オフィス家具の国内最大手
| 証券コード | 7984(東証プライム・その他製品) |
| 事業構成 | ファニチャー(オフィス家具)・文具・ビジネスサプライ流通 |
| 直近業績 | 2026年12月期Q1:売上高1,080億円(+8.7%)・営業利益138億円(+2.7%) |
| 注目テーマ | オフィス回帰・働き方改革需要・「Campusノート」ブランド |
「Campusノート」「ジブン手帳」などの文具と、オフィス家具で国内最大手。2026年12月期第1四半期は売上高が前年同期比8.7%増、経常利益は11.4%増の145億円と二桁増益を達成し、ファニチャー事業とビジネスサプライ流通事業の成長が業績をけん引しています。
オフィス回帰の流れを受けた働きやすい空間づくりへの投資需要と、文具のプレミアム化・アジア展開が成長ドライバー。財務の安定感と業績の底堅さで、セクター内では「守りながら攻める」ポジションの銘柄です。
【注目ポイント】
・文具とオフィス家具という2本柱で景気変動への耐性が比較的高い
・2026年12月期Q1は増収増益と好スタート、収益性も改善傾向
・オフィス回帰・リニューアル投資の需要が家具事業の追い風
・高い自己資本比率と安定した株主還元
【リスク要因】
・国内オフィス投資の循環的な減速や、文具市場の少子化による長期的な縮小が成長の重しとなる可能性があります。
2026年下半期の見方:派手さはないものの、増収増益基調と財務の安定感は随一。下半期は家具事業の受注動向と値上げ浸透が確認ポイントで、ディフェンシブに保有しやすい1社です。
5. 三菱鉛筆(7976)|「uni」×LAMYでプレミアム筆記具の世界企業へ
| 証券コード | 7976(東証プライム・その他製品) |
| 前期業績 | 2025年12月期:売上高898億円(+1.1%)・営業利益97億円(▲20.5%) |
| 今期見通し | 2026年12月期は増収増益へ回復を計画 |
| 注目テーマ | ジェットストリーム・独LAMY買収による欧州プレミアム市場開拓 |
「uni」ブランドの三菱鉛筆は、油性ボールペン「ジェットストリーム」を筆頭に高い商品開発力を誇る筆記具大手。2024年に買収したドイツの高級筆記具ブランドLAMY(ラミー)を加え、プレミアム領域とグローバル展開を加速しています。
2025年12月期は欧州での流通在庫調整が響き営業利益20.5%減と苦戦しましたが、国内筆記具と非筆記具事業は堅調を維持。2026年12月期は在庫調整の一巡により増収増益への回復を見込んでいます。
【注目ポイント】
・「ジェットストリーム」という圧倒的な定番商品と継続的なヒット創出力
・LAMYブランドの取り込みで高単価・高利益率のプレミアム市場へ本格参入
・今期は欧州在庫調整一巡で増収増益への回復局面
・パイロットと並ぶ筆記具グローバル化の中核銘柄
【リスク要因】
・欧州在庫調整の長期化やLAMY統合コストの増大、円高による海外利益の目減りが回復シナリオの逆風となり得ます。
2026年下半期の見方:前期の減益で株価の期待値は下がっており、下半期に在庫調整一巡と利益回復が数字で確認できれば見直しが進む展開が想定されます。回復の進捗を四半期決算で確かめながら拾いたい銘柄です。
6. NISSHA(7915)|印刷技術を産業・医療に応用する京都の技術企業
| 証券コード | 7915(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 1,300円台(2026年2月時点) |
| 前期業績 | 2025年12月期:売上収益1,949億円(▲0.4%)・営業利益40億円(▲26%) |
| 今期予想 | 2026年12月期:営業利益66億円(+63.4%)と大幅増益を計画 |
京都発祥の旧・日本写真印刷。印刷で培った微細加工技術を、自動車内装などの加飾フィルム(産業資材)、タッチセンサーなどのディバイス、医療機器(メディカルテクノロジー)の3事業に展開するユニークな企業です。
前期はタブレット向けディバイス需要の反動減で営業利益26%減となりましたが、産業資材とメディカルは底堅く推移。2026年12月期は営業利益66億円と前期比6割超の増益を計画しており、利益のV字回復が焦点となります。
【注目ポイント】
・今期営業利益+63.4%という、セクター内で最も高い利益回復計画
・自動車加飾フィルムは世界トップ級シェアで、モビリティ需要が下支え
・成長分野のメディカルテクノロジー事業を第3の柱として育成中
・株価1,300円台と値がさ感がなく、回復シナリオに乗りやすい
【リスク要因】
・ディバイス事業は特定顧客の製品サイクルへの依存度が高く、四半期ごとの業績ブレが大きい点に注意が必要です。
2026年下半期の見方:Q1はディバイス減速で減収減益スタートとなったため、下半期にかけて通期の増益計画を達成できるかが最大の注目点。進捗を確認しながら臨むハイリスク・ハイリターン気味の回復期待株です。
7. 共同印刷(7914)|増配を続ける総合印刷3位の割安株
| 証券コード | 7914(東証プライム・その他製品) |
| 事業構成 | 情報コミュニケーション35%・情報セキュリティ31%・生活・産業資材32% |
| 今期予想 | 2027年3月期:経常利益29.5億円(+8.2%) |
| 株主還元 | 年間配当80円へ2円増配を発表 |
TOPPAN・大日本印刷に次ぐ総合印刷3位。出版印刷の老舗ながら、現在の収益源は証券類・ICカードなどの情報セキュリティと、チューブ・軟包装などの生活・産業資材へとシフトしています。
2026年3月期の経常利益はほぼ横ばいでしたが、直近の1-3月期は経常利益が前年同期比31.7%増と改善基調。2027年3月期は経常利益8.2%増を見込み、年間配当も80円へ増配する方針を示しました。
【注目ポイント】
・キャッシュレス・マイナンバー関連で需要が続くICカード・情報セキュリティ事業
・包装材(生活・産業資材)が利益改善のけん引役
・増配の継続と、大手2社に比べて出遅れ感のある株価水準
・直近四半期は利益率の改善傾向が鮮明
【リスク要因】
・祖業の出版・商業印刷市場の縮小が続いており、構造転換のスピードが業績改善の持続性を左右します。
2026年下半期の見方:地味ながら増配と利益改善が続く割安銘柄。PBR改革の流れの中で還元強化が続けば、見直し買いが入りやすい下半期の「拾い場」候補です。
8. キングジム(7962)|「テプラ」を生んだ独創文具メーカー
| 証券コード | 7962(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 800円台後半(2026年時点) |
| 主力製品 | ラベルライター「テプラ」・キングファイル・電子文具 |
| 注目テーマ | 独自商品開発力・オフィス需要・株主優待の人気 |
ラベルライター「テプラ」とキングファイルで知られる文具・事務用品メーカー。「世の中にない独創的な商品」を掲げ、デジタルメモ「ポメラ」など他社が真似しにくいニッチ製品を生み出し続けています。
オフィスのファイリング需要が祖業の基盤であり、ラベル関連の消耗品が収益を安定させるストック型の側面も持ちます。株価は800円台後半と手掛けやすく、自社製品を含む株主優待でも個人投資家に人気があります。
【注目ポイント】
・「テプラ」のテープなど消耗品によるストック型収益
・独創的な新製品開発力と高いブランド認知度
・最低投資金額が10万円未満と少額から投資可能
・個人投資家に人気の株主優待制度
【リスク要因】
・ペーパーレス化によるファイル需要の長期的な減少と、新製品のヒットの有無で業績が振れやすい点がリスクです。
2026年下半期の見方:業績の急成長を狙う銘柄ではなく、消耗品収益と優待を楽しみながら保有するタイプ。下半期は値上げ浸透と新製品の動向が確認ポイントです。
9. セーラー万年筆(7992)|万年筆ブームの追い風を受ける老舗
| 証券コード | 7992(東証スタンダード・その他製品) |
| 創業 | 1911年(広島県呉市)・国産万年筆のパイオニア |
| 注目テーマ | 手書き回帰・インバウンド・限定モデル人気 |
| 位置づけ | 低位の小型株(値動きが大きい点に注意) |
1911年創業、国産万年筆のパイオニア。職人による金ペン先の製造技術に定評があり、近年は若年層の「手書き回帰」ブームやインク沼と呼ばれるカラーインク人気、訪日客による高級筆記具需要が追い風となっています。
限定モデルやコラボ商品は発売即完売も珍しくなく、ブランド価値は向上中。一方で事業規模は小さく、ロボット機器事業も手掛けるなど収益構造はやや複雑で、株価は低位小型株特有の値動きの荒さがあります。
【注目ポイント】
・世界的な万年筆・インクブームとレトロブーム、インバウンド消費の直接的な恩恵
・金ペン先の内製技術という参入障壁の高い職人資産
・限定品・コラボ戦略によるブランド価値の向上
・低位株のため少額から投資でき、テーマ性で人気化しやすい
【リスク要因】
・小型株ゆえに業績・株価の変動が非常に大きく、ブームの沈静化や個人消費の冷え込みが直撃するリスクがあります。
2026年下半期の見方:10銘柄の中では最も投機的な位置づけ。万年筆ブームというテーマ性は強力ですが、ポートフォリオの「スパイス」として少額にとどめるのが賢明です。
10. ナカバヤシ(7987)|アルバムからアーカイブ事業へ広がる低位バリュー株
| 証券コード | 7987(東証プライム・その他製品) |
| 株価水準 | 600円台(2026年3月時点) |
| 主力事業 | アルバム・製本・文具事務用品・図書館向けサービス・シュレッダー |
| 注目テーマ | アーカイブ(記録保存)需要・低PBRの見直し余地 |
「フエルアルバム」で知られるアルバム国内最大手。祖業の製本・アルバムに加え、図書館製本や公文書のデジタルアーカイブ、シュレッダーなどの事務機器、書類保存サービスへと事業を広げています。
写真プリント需要の縮小という逆風はあるものの、官公庁・図書館向けのアーカイブ事業は安定した需要があり、文書の電子化・保存という社会的ニーズも取り込んでいます。株価600円台の低位バリュー株で、東証の資本効率改善要請を背景とした還元強化への期待もあります。
【注目ポイント】
・図書館製本・公文書アーカイブという競合の少ない安定事業
・文書電子化・記録保存という息の長い社会的需要
・株価600円台・低PBRで下値リスクが相対的に小さい
・東証のPBR改革を背景とした株主還元強化への期待
【リスク要因】
・アルバム・紙製品の市場縮小が続くほか、低位株のため流動性が低く、売買のしやすさには欠ける点に注意が必要です。
2026年下半期の見方:成長株ではなく、資産バリューと安定需要に注目する銘柄。下半期は還元方針の変化や自社株買いの有無が株価のカタリストとなり得ます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 印刷・文具関連株の中で、初心者が最初に検討しやすい銘柄は?
A. 業績の安定性と財務健全性を重視するなら、文具・オフィス家具最大手のコクヨ(7984)や筆記具最大手のパイロットコーポレーション(7846)が候補になります。いずれも増収基調で自己資本比率が高く、配当も安定しています。一方、セーラー万年筆(7992)やナカバヤシ(7987)のような低位小型株は値動きが大きいため、慣れてからの検討をおすすめします。
Q2. 「印刷株」はペーパーレス時代に買って大丈夫?
A. TOPPANホールディングス(7911)と大日本印刷(7912)は、すでに収益の主軸を半導体フォトマスク・FC-BGA・OLEDメタルマスク・電池材料などへ転換しており、純粋な「紙の印刷会社」ではありません。祖業の縮小は織り込み済みで、むしろAI・半導体・EVといった成長テーマへのエクスポージャーを持つ「印刷テック株」として評価するのが実態に即しています。
Q3. 2026年下半期にこのセクターで注目すべきイベントは?
A. ①TOPPAN・DNPの第1四半期決算(8月)での半導体関連事業の回復度合い、②TOPPANの最大500億円自社株買いの進捗、③三菱鉛筆の欧州在庫調整一巡の確認、④NISSHAの大幅増益計画(営業利益+63.4%)の進捗、の4点が主なチェックポイントです。
Q4. 配当・株主還元を重視するならどの銘柄?
A. 総還元性向72%・最大500億円の自社株買いを打ち出したTOPPANホールディングス(7911)が筆頭です。大日本印刷(7912)も増配と自社株買いの継続を明言しています。中堅では共同印刷(7914)が年間配当80円への増配を発表しており、増配の継続性という点で注目できます。
まとめ:2026年下半期の戦略
印刷・文具セクターは「構造転換」「グローバル化」「株主還元」という3つの軸で銘柄を選ぶのが王道です。タイプ別に整理すると次のようになります。
| 【タイプ別・銘柄の使い分け】 成長・構造転換の中核:大日本印刷(7912)・TOPPAN HD(7911) グローバル文具の安定成長:パイロット(7846)・コクヨ(7984)・三菱鉛筆(7976) 回復・割安の見直し候補:NISSHA(7915)・共同印刷(7914)・ナカバヤシ(7987) テーマ・スパイス枠:セーラー万年筆(7992)・キングジム(7962) |
半導体銘柄やAIブームの中、アナログのイメージがる印刷・文具業界もIT化が進んでいます。今回ご紹介した印刷・文具銘柄を活用した中核にはバランスシートと還元方針が明確な大型株を置き、回復期待の中小型株は四半期決算で進捗を確認しながら組み入れる――この「コア・サテライト」の発想が、2026年下半期のこのセクターでは特に有効と考えられます。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。株式投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断で行ってください。






















